米ホワイトハウス、クリーン建設資材促進のタスクフォースと環境汚染評価ツールの立ち上げを発表
(米国)
ニューヨーク発
2022年02月25日
米国ホワイトハウスは2月15日、クリーンな資材製品などの購入を促進するための「バイ・クリーン・タスクフォース」(BLTF)の立ち上げを発表した。連邦政府は2021年12月に、2030年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を2008年比で65%削減し、2050年までにネットゼロを目指すための「連邦政府サステナビリティ計画」を発表しており(2021年12月10日記事参照)、BLTFの立ち上げはこの目標を達成するための具体的な動きとなる。
BLTFには、国防総省やエネルギー省、運輸省などが参加する。連邦政府はクリーンな資材製品を年間6,500億ドル分調達するが、BLTFが政府における環境配慮型の鉄鋼やコンクリートなどの建設資材の調達を促進していく。具体的には、BLTFが利用資材の環境汚染物質を特定し、資材のサプライヤーと協力して各プロジェクトのGHG排出量の透明化を図る。運輸省は、輸送インフラで使用される建設資材に関して、GHG排出量削減の取り組みを評価・実装するワーキンググループを先行的に立ち上げており、こうした動きが今後、各省にも広がっていく可能性がある。
また、連邦政府による環境対策に関連して、ホワイトハウス直轄の環境諮問委員会(CEQ)は2月18日、各地域で水質汚染などの環境被害に係る進行度合いを確認するためのスクリーニングツールを立ち上げた。現在は試験版だが、60日間の意見公募などを経て正式版に移行する。ツール上では、都市名や郵便番号を入力すると周辺マップが表示され、過度な環境汚染や被害が進んでいる地域は濃い色で表示されるなど、視覚的に該当地域を確認できるほか、詳細な地域データもダウンロードできるようになっている。CEQのブレンダ・マロリー委員長は、本ツールに関する声明で「非常に多くのコミュニティが、安全でない水、嵐に耐えられない住居、米国の明るくクリーンな未来をほとんど享受できない状態で生活している。(今回のツールは)こうした恵まれないコミュニティを特定することに寄与する」と述べた。バイデン政権は、環境汚染の被害が低所得者や一部の民族などの弱者に集中しており、そうした不公平を是正しなければならないという環境正義の概念に基づいて政策を推進している。バイデン大統領は2月17日、インフラ投資雇用法を根拠に五大湖地域の水質改善などの環境浄化事業に10億ドルを投じることを発表したが、今後も環境正義をキーワードにした政策が推進されるものとみられる。
(宮野慶太)
(米国)
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