バレール首相就任7日目で更迭、トーレス前法務相による第4次内閣発足

(ペルー)

リマ発

2022年02月14日

ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は2月8日、大統領府においてアニーバル・トーレス前法務相を新たな首相に任命し、第4次内閣の宣誓式を行った。カスティージョ大統領は2月4日の国民放送で、2月1日に発足(2022年2月3日記事参照)したばかりのエクトル・バレール首相率いる第3次内閣の再編を行うと発表していた。バレール首相は就任後に、過去の家族に対する暴力事件が明るみに出たため、議会での信任決議案の提出前にもかかわらず、ペルーリブレ(ペルー自由:PL)党を含む8党派から信任決議案の採択拒否を表明されていた。また、ペルー経団連(CONFIEP)も同首相の解任を求める声明を発表しており、カスティージョ大統領は、さらなる政治の混乱を避けるために同首相の更迭を決めたとみられる。

新内閣では、トーレス前法務相の後任に、弁護士で元パスコ州、アンカッシュ州、マドレ・デ・ディオス州の最高裁首席判事のアンヘル・イルデフォンソ・ナロ氏が任命されたほか、政権発足時から新型コロナウイルス対策に当たってきたエルナンド・セバージョス保健相も退き、後任に医師でPL党員のエルナン・ユリ・コンドリ・マチャード氏を起用、エネルギー鉱山相には元フニン州エネルギー鉱山地方局長のカルロス・パラシオス・ペレス氏、農業灌漑開発相に教師でPL党議員のオスカル・セア・チョケチャンビ氏など、ブラディミール・セロンPL党首に近い人選が行われた(添付資料表参照)。

一方で、新内閣は就任直後から、コンドリ保健相が前職での汚職疑惑の捜査対象となっている事実が発覚、チョケチャンビ農業灌漑開発相も過去に同様の疑惑を抱えており、議会では既にトーレス首相への信任決議を牽制する動きが出ている。また、経済界からも政権への批判の声が上がっている。リマ商工会議所(CCL)は2月10日、カスティージョ大統領に対して、経験と実績のある閣僚を募ることができないとして公式ホームページで同政権を非難しており、新内閣には厳しい船出となっている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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