カスティージョ政権、バスケス首相辞任を受け第3次内閣発足

(ペルー)

リマ発

2022年02月03日

ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は2月1日、ミルタ・バスケス首相の辞任を受け、議会のエクトル・バレール・ピント議員を新首相に任命した。同日にバレール首相の新内閣任命宣誓式を行い、18閣僚中、エルナンド・セバージョス保健相やアニバル・トーレス法務人権相、ホルヘ・プラド生産相、ディナ・ボルアルテ開発社会包括相(第1副大統領兼務)など9人の閣僚の続投を発表した。新任閣僚では、外相にセサル・ランダ元憲法裁判所首席判事、経済財政相にオスカル・グラハム・ヤマウチ元生産省中小企業産業担当副大臣、内相にアルフォンソ・チャバリィ元内務省公共保安局長などを任命した(添付資料参照)。

バレール首相はアプリマック州生まれの63歳。2021年の議会選挙に右派のレノバシオン・ポプラール(人民一新党:RP)党から当選したが、同年7月にカスティージョ大統領の当選を認めないRP党のラフェエル・ロペス・アリアガ党首との対立から同党を除名された。その後、自らの党派設立を試みるが失敗し、ソモス・ペルー(われわれはペルー:SP)党とモラード(むらさき:PM)党の連立党派に加わった。しかし、2022年1月に同党派を離れて急進左派ペルーリブレ(ペルー自由:PL)党を離党した5人と中道派アクシオン・ポプラール(人民行動:AP)党を離党した1人とともにペルー・デモクラティコ(ペルー民主主義)党派を結成している。

バスケス前首相については、1月31日付でカスティージョ大統領に辞表を提出し、大統領は受理した。バスケス氏の辞任の背景には、1月28日に辞意を表明したアベリーノ・ギジェン前内相の後任人事での意見の相違があったとみられている。ギジェン前内相は、ペルー国家警察の幹部人事に関わる汚職問題(注)でハビエル・ガジャルド警察総司令官の更迭と幹部人事の刷新を求めていたが、最終的にカスティージョ大統領の合意が得られず、自身が辞任するという結果になった。新たなカスティージョ政権下での汚職疑惑の火種となりかねない状況にある。

(注)国家警察のガジャルド総司令官に対して幹部人事の便宜を図る見返りとして賄賂が支払われていたという事件。また、ギジェン前内相の後任にカスティージョ大統領が元国家警察官を提案したことに対して、警察内汚職の抜本的な見直しを求めるバスケス首相はこれに反対すると同時に辞表を提出した。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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