台湾、5県産など日本産食品に対する輸入規制緩和案を発表

(台湾)

中国北アジア課

2022年02月09日

台湾の行政院は2月8日、2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県などで生産・加工された食品に対して課していた輸入規制措置の緩和案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。台湾ではこれまで、5県産食品について酒類を除き輸入停止としていたが、(1)科学的根拠に基づくこと、(2)国際基準以上の厳格さを求めること、(3)国民の食の安全性を守ることの「3つの原則」、および「3つの措置(注1)」に基づき、11年間におよぶ輸入規制を緩和するとした。

規制緩和後は、5県産の食品について、野生鳥獣肉、キノコ類(菇類)、コシアブラ(漉油菜)を除き、放射性物質検査報告書と産地証明書の添付を条件に輸出が可能となる見込み。ただし、日本で流通が禁止されている品目は、全て台湾に輸入することはできない。

行政院の羅秉成政務委員は記者会見で、これまで日本国内で国際基準以上に厳格な管理措置を採用し、(原子力発電所の事故に)関連する食品リスクは低下していることから、世界各地で輸入制限を緩和もしくは解除する国が増えたと指摘。これらの国は、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟国を含む40カ国超に上る一方、5県産食品の輸入を依然禁止としているのは世界で台湾と中国だけだと述べた。また、公式な解禁時期を問われ、「10日間のパブリックコメント期間を経て、順調にいけば2月下旬に発表する」と発言した。

なお、輸入規制品目に加え、放射性物質検査報告書の提出が義務付けられる品目についても、一部措置の見直しが行われる(添付資料表参照、注2)。水際での放射能検査では、5県産品の全ての食品について、100%のロット別抜き取り検査を実施。5県以外の42都道府県の野菜・果実、水産物、海藻類、乳製品、飲料水、乳幼児用食品、茶葉については、水際検査結果などに応じて検査率を調整する。

(注1)「3つの措置」とは、(1)「特定地域」からの輸入禁止を「特定商品」に変更、(2)リスク品目に対して放射性物質検査報告書および産地証明書の添付を義務化、(3)福島を含む5県産食品の100%検査実施、を指す。

(注2)規制緩和の概要については農林水産省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにも掲載されている。

(相馬巳貴子)

(台湾)

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