青島市、海水淡水化設備の建設に奨励金交付

(中国)

青島発

2022年02月22日

中国・山東省青島市の海洋発展局と財政局は1月20日、同市内の海水淡水化施設の建設に1,000万元(約1億8,000万円、1元=約18円)を上限とする奨励金を交付する政策「青島市海水淡水化プロジェクト建設奨励補助政策実施細則(試行)」を公布した。同実施細則によると、海上の島での淡水化プロジェクトには固定資産投資額の20%を補助する。それ以外の淡水化プロジェクトには固定資産投資額の10%を補助する。補助額の上限はいずれも1,000万元。申請では、これまで環境保護政策などへの違反がないなどの条件を満たす必要がある(注1)。

胶東経済圏海水淡水化・総合利用産業連盟によると、2020年の青島市の1日当たりの海水淡水化能力は22万4,000トンで、全国の約7分の1を占めている(「青島新聞網」2021年4月15日)。また、自然資源部の「2020年全国海水利用報告」によると、山東省全体の1日当たりの海水淡水化能力は37万1,434トンとなっている(2020年末時点)。

水資源量に地域差、政府は水資源の確保推進

中国国内では、南方地域(湖南省、広西チワン族自治区、広東省など)や西南地域(チベット自治区、四川省、雲南省など)が豊富な水資源を有している。一方、山東省を含む北方地域の水資源量は全国的に見ても下位に位置している。2020年の水資源総量をみると、31省・直轄市・自治区の平均値が1,020億立方メートル、中央値が760億立方メートルなのに対して、青島市が属する山東省は375億立方メートルと大きく下回っている。また、天津市(13億立方メートル)、北京市(26億立方メートル)など、人口規模の大きい北方地域の主要省市で水資源が極端に少ないことが分かる(添付資料表参照)。

国家発展改革委員会は、国内で年間約500億立方メートルの水資源が不足しているとの試算を発表している。

同委員会と自然資源部は水不足問題への対策として「海水淡水化利用発展行動計画(2021~2025年)」を発表している。同計画では、2025年までに達成する目標として、国内の1日当たりの海水淡水化能力を125万トン以上増加させ、290万トン以上にまで引き上げることを明示している。同計画の主要目標では、海水淡水化の基幹技術・設備は「自主管理可能(中国語では、自主可控)」なものとする方針を示している(注2)。

(注1)対象プロジェクトは2021年1月1日から2023年12月31日までに施工許可証を取得したもの。

(注2)中国米国商会や中国EU商会などは、中国政府が近年、自主創新(国産独自技術の開発)政策と密接な関連がある「自主管理可能(中国語では、自主可控)」「安全かつ管理可能(中国語では、安全可控)」といった用語にひもづくガイドラインの利用や技術要求を行っていると指摘し、これらにより、在中国外資系企業が政府調達の面などで排除される可能性があるとの懸念を表明していた(2020年10月23日記事参照)。

(西島和希)

(中国)

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