イリノイ州、公共施設の屋内エリアでのマスク着用義務解除の方針を発表

(米国)

シカゴ発

2022年02月14日

米国イリノイ州のJ.B.プリツカー州知事(民主党)は2月9日、新型コロナウイルスの感染者数や入院者数が低下し続けた場合、公共施設の屋内エリアで課しているマスク着用義務を2月28日に解除する方針を発表した。同州では2022年1月からのオミクロン株による感染拡大により、ピーク時は7日間平均で約3万2,000人の感染者数、約7,400人の入院患者数となっていたが、現在、7日間平均の感染者は約6,000人(2月9日現在)、入院患者数も約2,500人(2月8日現在)と減少している。

イリノイ州では2021年8月30日、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けてマスク着用義務が課され、現在までその措置が継続されている。マスク着用義務が解除されたとしても、公共交通機関や医療施設など、連邦政府がマスク着用を義務付けている場所におけるマスク着用義務が継続されるほか、小中学校や高校、幼稚園などでも引き続きマスク着用義務を課す方針だ。

同知事は「多くの自治体、企業、組織では、独自のマスクの着用に関するルールを設けており、これらが尊重されるべき」とマスク着用を求める取り組みへの配慮を求めるとともに、「新型コロナウイルスの感染拡大の中、われわれはマスク着用など感染拡大防止に有効と考えられる手段を講じてきた。こうした取り組みは、人命を救い、経済を維持・成長させるものだった」とマスク着用義務を課してきたことの意義をあらためて語った。

地元裁判所でマスク着用義務が違法と判断

イリノイ州では2月4日、サンガモン郡巡回裁判所が公立学校におけるマスク着用義務を無効とする判断を下しており、州の決定に先立つかたちでマスク着用義務が解除されている。マスク着用義務の合法性については控訴審で係争中だが、2022年はイリノイ州で州知事選挙を控え、現職のプリツカー州知事も再選を狙っていることから、選挙戦を視野に入れつつ、州政府としてマスク着用に関してどのような判断を下すのか注目されている。

(藤本富士王)

(米国)

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