米運輸省、州政府や自治体に15億ドルのインフラ助成開始、老朽インフラ整備急ぐ

(米国)

ニューヨーク発

2022年02月03日

米国運輸省は1月28日、インフラ投資雇用法に基づく州政府や自治体に対する15億ドルの裁量的助成金プログラムの開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同法では運輸部門に5年間で約6,600億ドルの予算が付与されているが、そのうち約2,110億ドルは、人口などを勘案した機械的計算に基づく、従来の手法による各州への資金配分ではなく、各プログラムを運輸省が評価・分析し、資金配分を決める裁量的助成金によるものとされている(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版、2021年11月16日)。今回のプログラムは、同法により初めて募集を行う裁量的資金提供プログラムとなり、プログラムへの応募締め切りは4月14日、選考結果は8月12日までに発表の予定としている。

ピート・ブティジェッジ運輸長官は声明で「このプログラムは、大小さまざまなコミュニティーがインフラを整備し、現代化することを支援する」「今年は大統領の超党派インフラ(投資雇用)法のおかげで、これまで以上に多くのプロジェクトを支援でき、全国の人々にとって交通システムをより安全に、より利用しやすく、より持続可能なものにするのに役立つ」と述べた。運輸省は同法の予算措置により、州が利用可能な資金は前年に比べて1.5倍に増加したとしている。

しかし、折しもこれを発表した当日に、ペンシルバニア州ピッツバーグで老朽化した橋の崩落事故が起きている。突然の崩落だったため、通行中の複数車両が崩落に巻き込まれたが、死者はなく、大きな損害は免れたもようだ。別件で同じ日に同州を訪問していたジョー・バイデン大統領は事故現場を急きょ視察し、「われわれは、それ(ピッツバーグの老朽化した橋)を全て修理する」と述べた(「CNN」2022年1月28日)。

改修を必要とするほど状態の悪い橋は全米に約4万5,000あるとされ、運輸省は1月14日にも今後5年間で270億ドルを費やして全国の橋を改修・整備する計画を発表しているが、この計画での改修対象数は約1万5,000にとどまる(2022年1月20日記事参照)。インフラ投資雇用法では大規模な予算が付与されているが、改修対象数を踏まえればそれでも予算は限られており、今後効率的な予算の使い方が実行されていくか、連邦政府と州政府の動きが注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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