バイデン米政権、インフラ投資雇用法に基づく橋の改修計画発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年01月20日

米国のバイデン政権は1月14日、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法に基づき(2021年11月9日記事参照)、全国の橋を改修・整備する計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同法に基づいて各省は支出計画を続々と公表しているが、今回新たに発表した計画では、全米50州とコロンビア特別区、プエルトリコ準州や部族政府などに対して、橋の改修・整備を目的として、今後5年間で270億ドルを資金提供するとしている。州政府は改修費用の最大20%を負担する。所管官庁の運輸省によると、今回の計画により約1万5,000の橋を改修する見込み。運輸省は改修を必要とするほど状態の悪い橋は全米に4万5,000あるとしており、今回の計画はこうした橋梁を対象とする(「ウォールストリート・ジャーナル」紙2022年1月14日)。ジョー・バイデン大統領は声明で、今回の橋改修計画を含む一連のインフラ投資について「忘れ去られた地域をつなぎ、異常気象に強い電力網を強化していく。こうした投資はこれまでわが国が十分に行ってこなかったものだ」と述べ、意義を訴えた。

橋の改修のほかにも、インフラ整備という同法の目的から、特に運輸省が多くの大型資金プロジェクトを明らかにしている。12月には高速道路網整備の525億ドルの資金を州政府に提供することを発表した。インフラ整備での連邦政府から州政府への資金提供については、これまでは人口やガソリン税収入といった固定要因に基づく計算によって分配してきたが、同法の新規支出5,500億ドルのうち約1,200億ドルについては、各州政府の具体的なプロジェクトを運輸省が総合的に評価し、資金配分を決めるという競争的プログラムを導入している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙2021年11月7日)。このように、同法では運輸省が大きな権限を持つことから、例えば、環境に十分に配慮したプロジェクトに資金を優先的に配分することも想定される。今後さらに同省関連プロジェクトの発表が見込まれるが、連邦政府の資金を受けて各州政府が実施する具体的なプロジェクトの中身についても注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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