浮体式LNG発電設備運用へ、2030年までに4,000MWを目標

(コートジボワール)

アビジャン発

2022年02月16日

コートジボワール政府は、2022年1月26日の定例閣議で、アビジャン北部にある港湾区域に国内初となる設備容量202メガワット(MW)の浮体式LNG(液化天然ガス)発電設備(POWERSHIP)の設置・運用に関する協定書を承認した。浮体式発電設備である発電船は、リースを活用した事業スキームで運用されるが、操業を手掛けるオペレーターは明らかにされていない。コートジボワールでは現在、多くの発電プロジェクトが進行中で、建設中の発電設備が稼動すれば、国内の総発電量は2030年までに政府目標の4,000MWに一層近づく。

ワタラ大統領は、コートジボワールを西アフリカ地域のエネルギーハブにするという目標を掲げており、国産電力を増やす取り組みを重ねている。2013年12月のシプレル(CIPREL)IV発電所(111MW)を皮切りに、2015年6月に同国初のコンバインドサイクル発電方式のアジト発電所(441MW)、2015年12月にはシプレル発電所にコンバインドサイクル発電所(353MW)をそれぞれ増設し、運転を開始した。2017年11月には域内最大の電力生産拠点になった設備容量275MWのスブレ水力発電ダムの建設と運転を開始した。電力供給体制の強化によって、電力生産能力は2011年から2019年の間に60%増加し、2,229MWに達した。

コートジボワールは既にガーナ、トーゴ、ベナン、ブルキナファソ、マリ、リベリアに生産電力の11%を輸出しており、2021年11月末からはギニアとシエラレオネ向けの売電が可能になったことで、西アフリカ域内におけるエネルギーハブ国としての地位を確立した。

このほかにも、多くの電力インフラプロジェクトが進行中だ。グリボ・ポポリ水力発電ダム(112MW)(プロジェクト総額2億7,660万ユーロ、うち中国エクシムバンク借款2億5,820万ユーロ)、サングロボ・アウアティ水力発電ダム(44MW)〔アフリカ金融公社(AFC)融資総額1億7,400万ユーロ〕、ビオカラバイオマス発電所(46MW)(投資総額2億ユーロ)、ジャクビルコンバインド火力発電所シプレルV(390MW)(PPPプロジェクト総額3億7,800万ユーロ)、アジト天然ガス発電所などがある。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール)

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