ブラジル、ロシア軍による軍事行動でインフレ懸念高まる

(ブラジル、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

サンパウロ発

2022年02月28日

ロシア軍によるウクライナへの軍事行動をめぐり、ブラジルにおいて2月22日付現地紙「BBCニュース・ブラジル」は、金融商品などの仲介業務を行うヒコ・インベスチメントスのハケウ・ジ・サー経済部長が「情勢が緊迫しているロシアおよびウクライナは、ブラジルと同様に鉱物、穀物などの生産国」と述べ、世界的な一次産品の供給不安を招く事態になった場合、ブラジルがその一部を代替できる、との見方を示した旨を報じた。

グローバル・トレード・アトラスによると、ロシア、ウクライナともに、世界向け輸出品目(金額ベース)の上位には原油(HSコード2709)、石油(2710)、鉄鉱石(2601)、トウモロコシ(1005)が含まれている(注)。これらは、ブラジルの主要輸出品目でもある。ただ、ブラジルは肥料の85%を海外からの輸入に頼っており、ロシアは最大の肥料輸入相手国である(2022年2月24日記事参照)ため、トウモロコシ含む穀物向け肥料価格の上昇が懸念される。

ベラルーシも、ブラジルにとっては、カリ肥料(HSコード3104)の輸入相手国3位(金額ベース)だ。今回のロシア軍による軍事行動は、国際的なエネルギー価格を上昇させており、肥料のさらなる調達コスト増が懸念される。

経済面では、ブラジル応用経済研究所(IPEA)が2月22日、一連の情勢不安が2022年のインフレ加速に拍車をかける可能性があると分析した。エネルギーでは、ロンドン国際石油取引所(ICE)におけるブレント原油価格の上昇により、今後、国営石油会社ペトロブラスのガソリンやディーゼルなど国内向け燃料価格調整の参考指標となる可能性がある。2月24日付現地紙「グローボ」によれば、ペトロブラスのマーケティングおよびロジスティクスの責任者であるクラウディオ・マステラ氏が「燃料価格の決定は現時点で容易ではない。国際石油市場の動きとブラジル現地通貨レアルの為替変動を同時に注視する」と述べている。即座の値上げを行う様子はないもの、情勢の変化に注目する必要がある。エネルギーと肥料の価格上昇は、大豆やトウモロコシなどの生産コストを上昇させるのみならず、飼料価格の上昇、最終的には肉類など食料の価格も引き上げる可能性が懸念される。

(注)2021年のロシアから世界への輸出品目は、金額ベースで、原油が1,101億1,938万ドルで1位、石油が699億3,682万ドルで3位。2020年(2021年通年のデータは現時点で未公開)のウクライナから世界への輸出品目は、トウモロコシが48億8,513万ドルで2位、鉄鉱石が42億3,932万ドルで3位。2021年のブラジルから世界への輸出品目は、金額ベースで鉄鉱石が446億6,065万ドルと1位、原油が306億898万ドルで3位、石油が70億4,010万ドルで6位、トウモロコシが41億8,885万ドルで13位となっている。

(古木勇生)

(ブラジル、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

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