ウクライナ情勢が中央アジア周辺の物流に影響

(カザフスタン、ウズベキスタン、中央アジア、ロシア、ウクライナ)

タシケント発

2022年02月25日

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、中央アジア周辺での物流に影響が出始めている。

外洋に接していないカザフスタンやウズベキスタンなどの中央アジア諸国は、欧州との貿易にロシア経由のトレーラー輸送を利用することが多い。現在、ロシアとウクライナ国境、ベラルーシとポーランド国境、ロシアの黒海沿いのノボロシースク港経由での物流が機能しておらず、ジョージアのポティ港・黒海経由での輸送も難しくなりつつあることから、物資輸送に支障が発生している。

カザフスタンの物流企業クルーズ・ロジスティクスはジェトロのインタビューに対し、「現時点では、中央アジアと欧州間の貨物輸送はイランのバンダルアバス港などを経由するルートを使うしかない」と話す。また、中国と欧州や「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」についても「影響の顕在化は時間の問題ではないか」との認識を示している。

中央アジアと日本とを結ぶ物流について、クルーズ・ロジスティクスは「米国の対ロシア追加制裁の内容次第では、ナホトカやウラジオストクなどロシア極東経由の輸送ルートにも影響が出る可能性がある。その場合は、国境通関での渋滞が慢性化している中国経由ルートを使わざるを得ない」と述べている。

ウズベキスタンのサルドル・ウムルザコフ副首相、カザフスタンのバヒト・スルタノフ副首相は最近相次いでイランの首都テヘランを訪問した。2月21日にはイラン・ウズベキスタン、22日にはイラン・カザフスタンの政府間委員会が開催され、両委員会とも物流を含む多分野で協力関係を深化させることで意見が一致している。

(高橋淳)

(カザフスタン、ウズベキスタン、中央アジア、ロシア、ウクライナ)

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