東北地域で認定第1号の「RCEP認定輸出事業者」の在大連日系企業にヒアリング

(中国)

大連発

2022年02月22日

中国・大連税関は、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効月の2022年1月に、合計1,307件の同協定適用のための原産地証明書を発行した(「大連日報」2月8日)。対象となった輸出入商品の付加価値額は4億7,000万元(約84億6,000万円、1元=約18円)超、同税関管内企業に約140万7,900元の関税削減効果をもたらしたという。大連市税関関係者は「より多くの遼寧省企業がRCEPの関税削減メリットを享受し、調達コストの削減や原材料調達の選択性を高められるよう支援していく」と述べた。

大連市では外資系企業を含め、同協定をいち早く活用する動きがみられた。中国東北地域で初めて「認定輸出事業者」(2022年1月27日記事参照)に認定されたのは、市内の日系企業の光洋軸承大連だ。同社にRCEP協定活用に向けた取り組み状況などについて話を聞いた(2月11日)。

(問)貴社の事業概要は。

(答)当社はジェイテクトの100%子会社として、2001年に設立された。精密ベアリングの製造、販売を行っている。当社製品は日本を中心に韓国、ベトナム、タイ、インドネシアなどのRCEP加盟国に販売している。原材料は主に中国に進出している日系企業から調達している。

(問)「認定輸出事業者」となったメリットは。

(答)当社は「認定輸出事業者」となり、貨物を輸出する際、税関に原産地証明の発行をその都度依頼する必要がなくなり、いつでも独自に発行することができるようになった。これまでは貨物を船に載せてから申請を行い、発行されるまで1~2日程度がかかっていた。現在は出荷スケジュールが決まり次第、専用ページで登録すれば、独自に発行と印刷ができる。特に中国側の祝祭日に急いで出荷したい場合は大変便利になった。

(問)RCEP協定を活用する上で、現状の課題や今後の展望は。

(答)日本では取扱品目の輸入関税が無税となっていることから、対日輸出でのRCEP協定の活用メリットが少ない。他方、関税課税対象となっているその他のRCEP加盟国向け輸出では関税削減メリットを享受できる。これからは韓国をはじめ、東南アジア各国向け貨物に対して、積極的に自ら原産地証明を発行、RCEPを活用し、関税削減につながる取り組みを行っていく予定だ。「認定輸出事業者」は通関時の優遇策を享受することもできる。優遇策の活用を通じて、通関コストの低減、効率の向上、製品の市場競争力のさらなる強化が期待できる。

(高文寧)

(中国)

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