産業通商資源部や関税庁などがRCEP活用のための合同説明会を開催

(韓国)

ソウル発

2022年02月15日

産業通商資源部と関税庁は2月8日、韓国企業の地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の活用促進の取り組みの一環として、韓国貿易協会、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と共同で「RCEP協定活用のための合同説明会」を開催した。説明会は、国内の輸出企業のみならず、海外進出企業にも活用支援を行うべく、韓国とベトナムを中継で接続し、中国からはオンライン会議システムで参加する方式で開催された。

冒頭、ヨ・ハング産業通商資源部通商交渉本部長は「政府と企業が1つのチームとなり、輸出7,000億ドル時代に向け海外市場における企業のボトルネックを積極的に解消していく」と強調し、RCEP協定の積極的な活用を企業に求めた。説明会は、第1部として、大学教授や研究者による「専門家フォーラム」が開かれた。続いて開かれた第2部の「RCEP協定の活用ガイドセミナー」では、まず関税庁より、原産地規則の累積規定の活用、個別譲許、積送基準、原産地証明書の作成方法などの留意事項についての説明が行われた。次に、国際原産地情報院より、これまでの韓国が締結した自由貿易協定(FTA)と比較した「RCEP協定に特化した輸出活用ビジネスモデル」の紹介が行われた(注1)。さらに、韓国貿易協会より、企業ニーズを踏まえたFTA活用の支援事業の紹介が行われた(2022年1月28日2022年2月10日記事参照)。第2部の最後として、ベトナムおよび中国のKOTRA現地事務所より、「唯一、韓国と2国間FTAを締結していない日本がRCEP協定に参加するため、ベトナムでの日韓両国のコア素材を活用した生産活動が可能になった」(ハノイ)、「中国の場合、RCEP協定発効を機に、韓国や日本から素材・部材・装置を輸入していた従来の相互補完的な経済・貿易構造(注2)から脱却し、中国を軸とする域内サプライチェーンの構築を加速化させるだろう」(北京)といった紹介が行われた。

(注1)(1)作業用手袋といった織物の場合、韓国・ASEAN FTAと異なり、RCEP協定では国内で裁断・縫製工程を行う義務がないため、原産地基準の充足が容易、(2)日本の譲許表では、合成繊維フィラメント糸の場合、韓国産は無税、中国産は9.1%の関税率が適用されるため、日本市場での韓国の繊維製品の価格競争力が高まる点を例示。

(注2)半導体製造における、日本から韓国への原材料、製造装置の供給、韓国から中国への集積回路の供給、中国での最終製品の組み立てるサプライチェーンの構造を例示。

(当間正明)

(韓国)

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