日本発、多言語チャット開発のKotozna、シンガポール起点に海外展開へ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年02月07日

多言語で対応可能なチャットを開発するスタートアップ、Kotozna(本社:東京)は1月27日、ジェトロとのインタビューで、シンガポールを起点にタイ、米国のハワイや西海岸へ展開する方針を明らかにした。同社はこのほど、シンガポール観光庁(STB)主催のアクセラレーター・プログラム「シンガポール・ツーリズム・アクセラレーター(STA)」に日本企業として初めて選出された。2021年12月8日からシンガポールの代表的な観光施設で、同社が開発した「Kotozna Live Chat」の実証実験を開始している。

KotoznaがSTAに応募するきっかけとなったのは、2018年6月にシンガポールで開催されたイノベーションの大型国際会議・展示会「イノブフェスト・アンバウンド」に出展した際に、ジェトロから同プログラムを紹介されたことだ。STAの1回目(2019年6月)から応募して、4回目に採択された。「Kotozna Live Chat」の実証実験では、観光施設のウェブサイト上にあるチャットを開くと、利用者の言語で入力した問い合わせが自動翻訳され、多言語で対応できる。後藤玄利代表取締役によると、同観光施設には新型コロナウイルス感染拡大前には日本や韓国、中国からの観光客が多く訪れていた。「それぞれの言語でチャットができるようになれば、成約率が上がるため、多言語で対応できるチャットを導入したい」という同施設の要望に応えた。

画像 Kotozna Live Chatの画面イメージ(Kotozna提供)

Kotozna Live Chatの画面イメージ(Kotozna提供)

後藤代表取締役は1994~2014年に医薬品や日用品の電子商取引(EC)サイト「ケンコーコム」を経営した経験を持つ。同社を楽天に売却後、2016年にKotoznaを創業した。同氏は、創業理由について「少子高齢化に直面する日本の地方再生には、インバウンド観光が重要になる。その際に壁となる言葉の壁をテクノロジーの力で解消しようと考えた」と説明した。同社は、宿泊客と宿泊施設のスタッフとの間で、非接触でのコミュニケーションができる「Kotozna In-room(コトツナ・インルーム)」も提供している。資本提携先であるJTBが2020年10月から国内の宿泊施設向けに販売し、これまでに国内200以上のホテルで採用されている。

同社が開発したチャットは、109カ国の言語に対応できる。後藤代表取締役は、シンガポールを起点とした今後の海外展開について、「アジアでは、言葉は英語だけでない。それぞれバラバラの言葉が使われおり、言葉の壁という課題を解消するにあたって取り組むべきマーケットだ」と述べた。

(本田智津絵)

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