ヒスパニック系人口が全米に広がる傾向、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2022年02月08日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは2月3日、2020年国勢調査のデータに基づく全米のヒスパニック系人口の動態に関する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年までの10年間で、ヒスパニック系の人口分布が全米に広がる傾向がみられた。

2020年には、全米のヒスパニック系人口は6,210万人に達し、2010~2020年の全米の人口増加率7%に対して、ヒスパニック系は23%増加した。既にヒスパニック系の人口が多い郡では人口の増加数が多く、ヒスパニック系人口が比較的少ない郡では増加率で高い伸びがみられた。

2010~2020年でヒスパニック系人口の増加数が多かった郡は次のとおり。

  • 1位ハリス郡(テキサス州):36万3,169人
  • 2位マイアミ・デ―ド郡(フロリダ州):23万3,079人
  • 3位マリコパ郡(アリゾナ州):22万2,674人
  • 4位リバーサイド郡(カリフォルニア州):20万7,038人
  • 5位ベクサー郡(テキサス州):18万4,000人

2010~2020年でヒスパニック系人口の伸び率が高かった郡は次のとおり。

  • 1位マッケンジー郡(ノースダコタ州):10.0倍
  • 2位ウィリアムス郡(ノースダコタ州):8.9倍
  • 3位チャールトン郡(ジョージア州):6.6倍
  • 4位アレン郡(ルイジアナ州):5.5倍
  • 5位スターク郡(ノースダコタ州):4.0倍

1990年には9州(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、フロリダ、イリノイ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、テキサス)にヒスパニック系人口の86%が集中していたが、2020年にはそのシェアが73%に低下し、ヒスパニック系が全米に広がりつつあることを示した。

アリゾナ州やジョージア州などでは、2022年11月の州知事選挙や中間選挙で接戦が予想されており、ヒスパニック系人口の増加が及ぼす影響も注目される。また、マーケティング企業のクラリタスは、2020年の全米のヒスパニック系世帯の所得総額を1兆2,850億ドルと見積もっており、今後消費市場に与える影響が大きくなることを予想している。

多数のヒスパニック系人口を擁する上位10郡は変わらず

ヒスパニック系人口を多数擁する上位10郡は、2010年のセンサス統計から変化はなかった。順位をみると、リバーサイド郡は2010年の9位から6位に上がり、オレンジ郡は2010年の6位から10位に後退した。

ヒスパニック系人口を多数擁する郡は次のとおり。

  • 1位ロサンゼルス郡(カリフォルニア州):480万4,763人
  • 2位ハリス郡(テキサス州):203万4,709人
  • 3位マイアミ・デード郡(フロリダ州):185万6,938人
  • 4位クック郡(イリノイ州):138万2,778人
  • 5位マリコパ郡(アリゾナ州):135万1,415人
  • 6位リバーサイド郡(カリフォルニア州):120万2,295人
  • 7位ベクサー郡(テキサス州):119万958人
  • 8位サンベルナルディーノ郡(カリフォルニア州):117万913人
  • 9位サンディエゴ郡(カリフォルニア州):111万9,629人
  • 10位オレンジ郡(カリフォルニア州):108万6,834人

(松岡智恵子)

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