エストニア政府、ウクライナ情勢について政府内で今後も継続的に協議へ

(エストニア、ウクライナ)

ワルシャワ発

2022年02月09日

エストニア政府は2月3日の閣議で、ロシア軍がウクライナへ侵攻した場合の影響に対処するため、エストニアでの現状や課題について協議した(政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。政府は、ウクライナ情勢の緊迫化によるエストニアへの直接的な軍事的脅威はないとしつつも、全ての人と組織は、ウクライナでの軍事行動によって引き起こされる危機に備える必要があると発表。カヤ・カラス首相は、戦争難民の急増、深刻化するエネルギー危機、サイバー攻撃、そしてより広範な経済的および社会的影響に備える必要がある、と強調した。

閣議での各閣僚の発言は以下のとおり。

  • 外務省は事態のエスカレーションの阻止に専念することを優先しているが、どのような事態になってもウクライナ政府とエストニア国民を支援する用意がある(エバ=マリア・リーメッツ外相)。
  • 1月20日に閣議決定した国家安全保障への3億8,000万ユーロの追加予算投入も含め、国防および防衛政策に関連する目標に向けて努力を続けている(カッレ・ラーネット国防相)。
  • ウクライナでの軍事的エスカレーションの脅威がサイバーセキュリティの状況を著しく悪化させている。エストニアのデジタル社会は、通信や情報システム、電子サービスに大きく依存しているため、サイバーセキュリティにさらに注意を払う必要がある。企業や組織の責任者は、基本的なセキュリティ、バックアップ計画、および危機への備えを自ら管理する必要がある(アンドレス・スット起業・IT相)。
  • 農林水産の分野では、治安情勢に関する緊張は主に食品産業に影響が及ぶ。関係機関や企業と協力して、リスクの軽減に積極的に取り組んでいる。ウクライナ人労働者の帰国による働き手の減少、エネルギー輸送価格の上昇、またはサプライチェーンに一時的な問題が発生する可能性がある(ウルマス・クルーセ地方相)。

エストニア政府はウクライナの情勢緊迫化による安全保障面への影響について、2週間ごとに、あるいは必要に応じて協議する予定。2021年1月時点でエストニアに住むウクライナ人は2万7,254人と、ロシア人に次いで2番目に多い民族。エストニアはウクライナに比較的近いことから、現地メディアによると、潜在的には数万人規模の戦争難民がエストニアに来る可能性があるといわれている。

(吉戸翼)

(エストニア、ウクライナ)

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