北九州市、外資とのオープンイノベーション先行事例を紹介

(日本、シンガポール、ドイツ)

北九州発

2022年02月09日

北九州市とジェトロは1月26日、同市でのビジネス展開に関心を持つ企業向けに、同市の魅力や、外資と市内企業などとの協業連携(オープンイノベーション)の先行事例、市内スタートアップの情報を発信するイベントをオンラインで初めて開催した。「Q-Pitch 2022 – Transforming the world from Kitakyushu」と題した同イベントには、70人が登録し、半数が国外からだった(注1)。

北九州市の北橋健治市長は冒頭のあいさつで、「北九州市は、常に変革にチャレンジする街であり、チャレンジする人々を応援する街」「産業集積やSDGsの世界的モデル都市という北九州市の強みを生かしながら、外国企業の誘致を積極的に進め、外国企業と日本でのイノベーションを北九州市から創出したい」と英語で訴えた。内閣府のスタートアップ・エコシステム推進拠点都市(注2)に認定される北九州市は、市内スタートアップの国内外での事業拡大支援のほか、優れた技術や新たなビジネスモデルを有する外国企業の呼び込みを進めている。

写真 北九州市の北橋健治市長(北九州市提供)

北九州市の北橋健治市長(北九州市提供)

産業機器導入ソリューションを提供するドーワテクノス(本社:北九州市)は、北九州市によるドイツへの企業団派遣を契機にドイツの生産管理ソフトウエアを提供するEVO Informationssystemeと連携し、日本企業向けのデジタル変革(DX)に向けたサービス提供の準備を進める。イベントに登壇した経営企画室長の谷口寛氏は「EVOとの連携の決め手は、製品やサービスが十分に魅力的だったことに加えて、DXに資するソフトウエアを通じて企業の経営課題を解決するという『マインドセット』に共感したこと」と述べ、「外資との協業連携にはスペックシートに書かれていない価値観の共有が不可欠」と指摘した。さらに「北九州市は多様な価値観を受け入れ、社会的な課題を解決するための『マインドセット』があり、産官学連携による強力なサポートを受けられる場所」と同市の魅力にも言及した。

シンガポール発スタートアップのSWAT Mobility Japan(本社:東京都)は、北九州市交通局と市営バスダイヤ効率化に向けた実証実験(2021年10月26日記事参照)を進める。登壇した代表の末廣将志氏は、日本の社会課題である人口減少や人口流出が特に地方で深刻化している現状を指摘した上で、「乗客数の減少により採算が取れない公共交通機関は消滅の危機にある。最大の乗客数を最小の車両台数で動かす当社のルーティングアルゴリズムを活用し、バス事業者と連携してこれを解決したい」と意気込む。また、末廣氏は、北九州市と連携した決め手として、政令指定都市で人口も多く実証環境がそろうこと、大企業が多く、コラボレーションの機会が多いことを挙げつつ、「北九州市はスタートアップとの連携に強い意欲を持っており、スタートアップにとってベストな街」と強調した。

写真 ドーワテクノスの谷口寛・経営企画室長(北九州市提供)

ドーワテクノスの谷口寛・経営企画室長(北九州市提供)

写真 SWAT Mobility Japanの末廣将志代表(北九州市提供)

SWAT Mobility Japanの末廣将志代表(北九州市提供)

(注1)イベントの様子は北九州市のYouTubeチャンネル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで後日ストリーミング配信される。

(注2)内閣府は2020年7月、世界に伍する日本型のスタートアップ・エコシステムの拠点の形成と発展に向け、北九州市を含む国内8都市をスタートアップ・エコシステム拠点都市に認定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(葛西泰介)

(日本、シンガポール、ドイツ)

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