電子部品の国内産への切り替えを議論、政府が戦略会議

(ロシア)

モスクワ発

2022年02月16日

ロシア政府は2月12日、ロシア製の電子機器の需要喚起と国内産業の育成支援に関する戦略会議を開催した。出席したユーリー・ボリソフ副首相は「デジタルトランスフォーメンション(DX)の進展に伴い、国の重要な情報インフラを部品の輸入に依存することは国の安全保障を脅かすものだ」と述べ、国内電子産業の振興を加速させる考えを示した。

戦略会議はドミトリー・チェルヌィシェンコ副首相とボリソフ副首相が主催し、デニス・マントゥロフ産業商務相やマクスト・シャダエフ・デジタル発展・通信・マスコミ相のほか、ロシア鉄道、通信大手ロステレコム、最大手行ズベルバンク、インターネット関連サービス最大手ヤンデックスグループの経営層を含む約300人が参加した。

ロシアは2020年に政府指示第20-r号「2030年までの電子産業の発展戦略」(2020年1月17日付)に基づき、国内でのソフトウエアとハードウエアの開発支援を進めている。発展戦略は、科学・技術面や人材育成面、生産設備面の開発や規制緩和を通じた電子産業の競争力強化を目的として制定された。国内メーカーへの補助金制度などを設けたほか、公共調達や国有企業による購入を定めている。会議では、発展戦略の枠組みに基づいて、主要な情報インフラを成すソフトウエアとハードウエアを外国製から国産品へ移行することが優先事項だと強調された。

ロシアでは、ウクライナ情勢をめぐる米国の対ロ制裁案として、米国の技術を用いた製品の輸出禁止や集積回路の輸出禁止の可能性が取り沙汰されている(「ニューヨーク・タイムズ」紙1月8日、「ロイター通信」1月19日)。これらの動きに対し、ズベルバンクは1月、制裁を受けた際に銀行業務に関わるITインフラサービスが遮断されたことを想定した技術面の訓練を行った(「コメルサント」紙2月1日)。ロシア郵便、アエロフロート、ロシア鉄道なども、SWIFTからの切断や、欧米のソフトウエア、サーバー、集積回路を含むハイテク機器の供給が停止した場合を想定した訓練を行ったとされる(電子メディア「ザ・ベル」2月7日)。

(菱川奈津子)

(ロシア)

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