越境EC輸入商品リスト改定、トマトジュースや家庭用食洗機など29税目を追加

(中国)

北京発

2022年02月22日

中国の財政部や税関総署など8部門は2月21日、越境ECの優遇措置の対象となる「越境EC小売り輸入商品リスト(2019年版)」の改定版を発表した。改定版リストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は3月1日から適用する(注1)。発表によると、今回の改定は、スキー板などのスキー用具や家庭用食洗機、トマトジュースなど、消費需要が近年旺盛な商品29税目を追加したほか、最近の税則・税目の変化に基づいて一部の商品のHSコードを調整し、また、監督管理の要求に基づいて一部商品の備考欄の記載を調整したもの。既存の越境EC小売り輸入商品リスト(2019年版)は2020年1月1日から施行しており、1,413税目を掲載している。改定後のリストの総税目数は63増の1,476となる(注2、3)。

今回追加された29税目には上記のほか、粉からし、人毛や合成繊維製のウィッグ、時計付きラジオ、金属製ではないストラップとその部品、ビデオゲーム用のコントローラーや設備、ゴルフやクラブ、写真・映像機器または録音・録画再生機器専用の三脚などが含まれる。

リスト改定について、中国社会科学院世界経済政治研究所の高凌雲研究員は、近年の消費者需要の変化に対応する商品を追加したものと指摘した。また、中国サービス貿易協会の田国鋒常務副秘書長は、大手越境EC企業にとっては商品カテゴリーが充実し、中小の越境EC企業にとっても越境EC輸入業務へ参入する空間がより広がると述べた(「北京日報」2022年2月21日)。

商務部の高峰報道官は2月17日の定例記者会見で、2021年の中国の越境EC貿易額は前年比15%増の1兆9,800億元(約35兆6,400億円、1元=約18円)となり、過去5年間で10倍近い伸びとなったと紹介した。また、今後の取り組みとして、越境EC輸出入商品の返品・交換の円滑化、越境ECの知財保護ガイドラインの策定、企業の育成やブランド構築を強化していくとしている。

(注1)越境ECに係る優遇措置の詳細については「中国における越境ECの概要と留意点:中国向け輸出」を参照。

(注2)リストにはHSコード8桁分類の品目を掲載。うち6桁までは世界共通となっている。

(注3)今回の改定では、「中華人民共和国輸出入税則(2022年)」で新たに設定した税目に対応するかたちでリスト上の一部の税目を細分化・分割しているものがあるため、リスト全体としては新規追加分以上に税目数が増加している。

(小宮昇平)

(中国)

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