ベトナム保健省、濃厚接触者の医療隔離期間を短縮

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年02月28日

ベトナム保健省は2月21日、公文書762/BYT-DPにより、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者(F1)の医療隔離措置について公表。濃厚接触者が新型コロナウイルスワクチン接種完了者または感染から回復した人の場合、隔離期間を従来の7日間から5日間に短縮することを決定した。

濃厚接触者の医療隔離期間および健康観察期間は従来、それぞれ7日間とされ、隔離の開始日と7日目の2回、PCR検査または迅速抗原検査を受ける必要があった。

今般の文書により、新型コロナウイルスワクチンを少なくとも2回接種し、最後の接種日から14日間が経過した人、および濃厚接触者と認定されるまでの3カ月以内に新型コロナウイルスの感染から回復した人については、医療隔離期間が5日間に短縮される。隔離期間短縮の対象者は、自宅やホテルなどで実施する隔離の5日目に、医療従事者の監督のもとでPCR検査または抗原迅速検査を受ける。検査結果が陰性の場合、5日間の健康観察に移行する。

隔離期間短縮の対象とならない濃厚接触者については、医療隔離期間は7日間で、隔離7日目にPCR検査・抗原迅速検査を受け、結果が陰性であれば3日間の健康観察に移行する。

感染者急増も、「ウィズ・コロナ」の方針を維持

ベトナム政府は2021年10月以降、新型コロナウイルス関連の規制措置緩和を随時行い、経済活動再開を進めているが、国内ではテト(旧正月)休暇後に感染者数が急増しており、1日当りの新規感染者数は2022年2月8日に2万1,909人と、感染発生以来、初めて2万人を超えた。その後、2月24日に6万9,128人と短期間で3倍以上になり感染の急拡大が続く。感染者数の増加が顕著な北部地域においては、従業員の感染・隔離の増加により、人員不足に直面する企業が増えている(「トイチェ」紙2月23日)。ハノイ市でも、自社や取引先の従業員が感染者・濃厚接触者となることで一時休業する日系飲食店・小売店舗が増えるなど、経済活動への影響がみられはじめていた。

感染が急増する中での医療隔離措置の緩和は、ワクチン接種率の高さ(注)を背景に、「ウィズ・コロナ」に基づく政策下で経済活動を滞らせないための一方策といえる。

(注)2月23日までのワクチン総接種回数は約1億9,270万回。1回目接種は総人口の81.4%、2回目接種は77.2%、3回目接種は38.8%(保健省機関紙「健康と生活」2月24日)。

(阿部浩明)

(ベトナム)

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