国務院、省エネ・炭素排出削減に関する方針を発表

(中国)

北京発

2022年02月14日

中国の国務院は2022年1月24日、「第14次5カ年(2021~2025年)規画における省エネ・炭素排出削減に関する総合的取り組み方案の通知」(国発[2021]33号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、省エネ・炭素排出削減の主要目標や10大重点プロジェクトなどを示した。

省エネ・排出削減に向けた2025年までの目標として、単位GDP当たりのエネルギー消費量を2020年比で13.5%削減するほか、化学的酸素要求量(COD)(8%)、アンモニア性窒素(8%)、窒素酸化物(NOx)(10%以上)、揮発性有機化合物(VOC)排出総量(10%以上)の削減目標数値を設定した。

そのうえで、10大重点プロジェクトとして以下を挙げた。

(1)鉄鋼やセメント産業などの重点業種における省エネ・炭素排出削減を目的とした設備改良

(2)製造業の工業団地への集積の促進や団地における汚水処理などの共用設備の建設

(3)既存建築物の省エネ化など、都市部におけるグリーン・省エネ化に向けたプロジェクトの推進

(4)交通、物流面における省エネ・排出削減の推進

(5)農業生産や農村生活における風力や太陽光エネルギーなど再生可能エネルギーの活用

(6)公共施設・機関における冷暖房や照明などの設備などの省エネ対応の加速化

(7)珠江デルタ地域や成都・重慶地域などの重点エリアにおける汚染物質排出削減(注1)

(8)石炭使用量の削減・クリーン高効率利用とクリーン燃料による代替

(9)VOCの含有量が少ない塗料の利用推進など、VOC排出抑制対策の推進

(10)都市における汚水管網の整備と改良など環境関連インフラのレベルアップに向けた取り組み推進

重点業種における省エネ・炭素排出削減を目的とした設備の改良では、2025年までに鉄鋼、アルミニウム、セメント、板ガラスなどの重点産業の生産およびデータセンターの運営について、エネルギー効率のベンチマーク水準を満たすものの比率が30%を超えるようにするとした(注2)。

公共施設・機関における省エネ化では、公共機関が省エネ・新エネ車を率先して調達することを推進し、新設・既設の駐車場には電気自動車(EV)の充電設備を設置するか充電設備を設置できる環境を備えておくことなどが盛り込まれた。

また、石炭のクリーン・高効率利用では、石炭火力発電ユニットの二酸化炭素超低排出に向けた改良を引き続き推進するとした。さらに、2025年までにエネルギー消費総量に占める非化石エネルギーの割合を20%前後まで高めるとした。

このほか、各地方の単位GDP当たりエネルギー消費量削減目標について、エネルギー産出率(注3)を重要な根拠としつつ、発展段階等の要素を総合的に考慮して合理的に決定するとした。また、各省・直轄市・自治区は、域内総生産(GRP)成長率目標と単位GDP当たりエネルギー消費量削減目標に基づいて年間のエネルギー消費総量目標を決定する。さらに、国が定めた単位GDP当たりエネルギー消費量削減目標を達成した地域においては、その地域の当年のエネルギー消費総量を二重制御(双控)政策上の査定項目から免除するとの方針も示した(2021年9月27日記事参照)。

(注1)具体的には、珠江デルタ地域や成都・重慶地域を大気汚染防止重点地域として対策を進めるほか、長江の保護修復のための汚染対策プロジェクトを進めるとしている。

(注2)国家発展改革委員会ほか6部門は2021年11月、「高エネルギー消費業種重点分野におけるエネルギー効率ベンチマーク水準および基準水準(2021年版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を公布した(2022年1月1日施行)。上記においては、石炭加工、基礎化学原料製造、肥料製造、セメント・板ガラス・セラミック製品の製造、製鉄・製鋼、銅・鉛の製錬などにおける、製品ごとに定めた単位に基づくエネルギー消費のベンチマークとなる水準と基準となる水準が示されている。

(注3)当該地域の総生産を、当該地域のエネルギー消費総量で割ったもの。エネルギー産出率が高いほど、エネルギー利用効率が高いことを示す。

(趙薇)

(中国)

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