EUの2021年12月の失業率、新型コロナ感染拡大以前の水準に改善

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2022年02月03日

EU統計局(ユーロスタット)の2月1日の発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2021年12月の失業率(季節調整済み)は、EU27カ国全体で前月から0.1ポイント改善し6.4%、ユーロ圏19カ国でも前月から0.1ポイント改善し7.0%だった(添付資料表参照)。EU全体の失業率は2021年4月以降、改善傾向を示しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始める前の2020年3月の6.5%を下回る低失業率となった。

12月の失業率を加盟国別にみると、チェコが2.1%と最も低く、次いでポーランド(2.9%)、ドイツ(3.2%)が続いた。最も高い失業率はスペインの13.0%だった。

失業率が前月から改善した加盟国はギリシャ(0.6ポイント低下)、スペイン、リトアニア、ポルトガル(いずれも0.4ポイント低下)などの18カ国だった。失業率が前月から悪化した加盟国は、ラトビア、ルーマニア(ともに0.2ポイント上昇)、オランダ(0.1ポイント上昇)の3カ国のみだった。

12月のEU27カ国の失業者数は1,361万2,000人で、前月比で21万人減、そのうちユーロ圏は1,148万1,000人で、前月比で18万5,000人減となった。同月の25歳未満の若年層の失業者数は、EUで274万8,000人、このうち222万2,000人がユーロ圏の失業者だった。若年層の失業者数の増減を前月比でみると、EUでは8万1,000人の減少、ユーロ圏で7万8,000人の減少となった。

若年層の12月の失業率も、EU全体とユーロ圏は前月からそれぞれ0.4ポイント、0.5ポイント改善し、ともに14.9%だった。

若年層の失業者数を加盟国別にみると、フランス(58万1,000人)、スペイン(45万人)、イタリア(39万1,000人)が引き続き大部分を占めた。3カ国の若年層失業率はそれぞれ17.6%、30.6%、26.8%となり、前月からそれぞれ0.2ポイント、0.6ポイント、0.7ポイント改善した。若年層失業率が最も低かったのはドイツの6.1%で、最も高かったのはスペインの30.6%だった。

ユーロスタットは1月13日に、新型コロナウイルス危機がEU労働市場に及ぼした影響として、就労を希望しながらもできていない層がより網羅的に計上されている未活用労働指標(季節調節済み、注)などを含む「労働力調査(LFS)」を発表した(プレスリリース)。それによると、EUの2021年第3四半期(7~9月)の未活用労働指標は、前期から0.8ポイント改善し12.9%となった。同四半期の未活用労働指標を加盟国別にみると、チェコが3.6%と最も低く、次にマルタ(4.8%)、ポーランド(5.4%)だった。最も高かったのはスペイン(23.2%)で、イタリア(22.0%)、ギリシャが(20.6%)が続いた。

(注)未活用労働指標(Labour market slack)には、ILOが定義する失業者に加え、ILOの定義に含まれないものの失業状態に近い者や、パートタイムなどに就業しながら就労時間の追加を希望する労働者、就労可能だが求職活動を行っていない者などが含まれる。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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