中国、工業の安定成長に向けた政策を発表、外資重要プロジェクトには中国渡航支援も

(中国)

北京発

2022年02月25日

中国の国家発展改革委員会など12部門は2月18日、「工業経済の安定成長促進のための若干の政策」(発改産業〔2022〕273号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同政策は、中国経済が需要の収縮、供給ショック、市場期待の低下という三重の圧力に直面しているとの認識を踏まえ、工業分野の経済発展を合理的な範囲に維持するために策定されたもの。主な内容は以下のとおり。

(1)財政・税:中小・零細企業の設備投資に対する減価償却費の一括計上、新エネルギー車購入補助金などの継続、地方政府による各種税金の減免対象の拡大、失業保険・労災保険の企業負担分の料率の段階的引き下げなど。

(2)金融:大型国有銀行による製造業への優先的融資、地方銀行による小型・零細企業・個人事業主向けの包摂的融資の奨励、石炭発電などのグリーン・低炭素排出への転換に向けた金融支援強化など。

(3)供給確保・価格安定:エネルギー消費効率に基づく電気料金の差別化、鉄鉱石や化学肥料などの供給確保・価格安定、鉄・銅鉱山などの開発支援、廃金属の利用促進など。

(4)投資・貿易および外資導入:太陽光発電、風力発電関連の投資推進、鉄鋼、非鉄金属、建材、石油化学などの省エネ・低炭素排出技術改良プロジェクトの開始、5G(第5世代移動通信システム)導入の促進や製造業企業のデジタル化促進、ビッグデータセンターの建設加速化、貿易会社・越境EC(電子商取引)企業・物流企業による海外倉庫の建設・使用への金融支援など。

(5)土地・エネルギー・環境:重要プロジェクトへの土地供給の確保、土地使用用途転換の支援、地域別・汚染レベル別の大気汚染対策の整備。よりターゲットを絞ったかたちでの企業の生産調整への対応。

なお、(4)では、外資系製造業誘致支援のため、製造業の重要プロジェクトについては、外国籍人員・家族の中国渡航の円滑化を図る。外商投資産業奨励目録を改定し、外国企業による投資について、ハイテク製造業分野への傾斜を促す。

その他、外資系企業による研究開発センター設立やイノベーションの支援に向けた政策を策定するとともに、外商投資法の実施を徹底し、外資系企業が中国企業と同じように政府の支援政策を活用できるようにするとしている。

(河野円洋)

(中国)

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