交通省、燃料電池車800台の調達に総額1,140万ユーロを助成

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年02月04日

ドイツの国家水素・燃料電池技術機関(NOW)は1月25日、ドイツで車両リースなどを手掛けるアレイン・モビリティー・グループ(Allane Mobility Group)の燃料電池車(FCEV)購入に総額1,140万ユーロを助成すると発表した(NOWプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

アレインは助成を受け、現代自動車のFCEV「ネッソ(NEXO)」を最大800台調達し、顧客にリースする。顧客は月額719ユーロ(付加価値税額を除く)から同車両をリースできる。NOWの発表によると、「ネッソ」は航続可能距離756キロで、700気圧なら約5分で水素充填(じゅうてん)が完了する。車体価格は6万9,327ユーロで、1台当たり1万4,299ユーロの助成を受ける計算になる。

今回の助成は、ドイツが実施する「水素・燃料電池イノベーション国家プログラム(NIP)」で、デジタル・交通省が行う。NIPは2007年に開始、2016年~2026年の第2フェーズ(NIP2)が進行中(2019年3月26日付地域・分析レポート参照)。NIP2では、研究開発に加え、初期の製品や技術の市場投入も支援対象になっている。NOWによると、今回の助成はNIPでFCEV(乗用車)市場化に関連して助成したプロジェクトの中で最大の助成額になるという。

FCEVは商用車が主で、乗用車は電気自動車(EV)が中心になっていくとする見方が多い(2021年5月17日記事参照)。クルト・クリストフ・フォン・クノーベルスドルフNOW理事長は今回の助成について、「FCEVが乗用車でも可能性があることを示している」とコメントした。

連邦自動車局(KBA)によると、ドイツ国内で2021年に新規登録されたFCEV(乗用車)は464台で全体の0.02%にすぎない。欧州自動車メーカーやエネルギー関連企業が共同で設立した「H2モビリティ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますー」によると、ドイツ国内の水素充填施設は、稼働中が91カ所、準備・試験運用などが14カ所、計画段階が3カ所となっている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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