ハンガリーの対内直接投資額、2021年は過去最高を更新

(ハンガリー、韓国、日本)

ブダペスト発

2022年01月26日

ハンガリー投資促進庁(HIPA)は1月17日、2021年の外国投資受け入れに関する報告書を発表した(同庁プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます年のハンガリーへの直接投資額は過去最高の59億ユーロ相当を記録した(これまでの最高額は2019年の53億ユーロ相当)。アジアからの進出が引き続き活発で、2020年は直接投資額の47%だったシェアを2021年には60%に伸ばしている。

最大の投資国は2年ぶりにトップに返り咲いた韓国で、電気自動車(EV)用バッテリーのグリーンフィールド投資を行ったSKイノベーション(投資額19億ユーロ、2021年2月9日記事参照)や、EV用バッテリーの正極材を生産するエコプロBM(同7億2,800万ユーロ、2021年12月16日記事参照)の2案件が大規模投資のトップ2となって貢献し、韓国からの直接投資は金額にして28億ユーロ、新規雇用については3,426人分を創出している。

投資規模については、5,000万ユーロ相当以上を対象とした大型案件が96件あり、総額53億ユーロ、1万2,009人の雇用を創出した。そのうち8件が1億ユーロ以上だった。そのほかの326件は総額6億ユーロの新型コロナウイルス禍に対応する企業支援策の「COVID対象プロジェクト」(注)だった。これら合計422件の投資案件により、1万3,883人の新規雇用が創出された。

セクター別では、電気を利用した交通機関や移動手段であるEモビリティーへの投資を中心とした電子・電気産業が自動車産業に取って代わり最大となった(投資総額の51.9%)。2位は自動車産業で12.5%、3位は食品産業で11.1%だった。ビジネスサービス、情報通信技術(ICT)、研究開発など高付加価値なサービス活動への投資企業数は19社と報告している。

ハンガリー政府はHIPAを通じて、外国からの投資を積極的に支援している。シーヤールトー・ペーテル外務貿易相は1月5日、SNSのサイトで「過去に例のない2021年の直接投資受入額は、政府の投資優遇制度によるもの。投資誘致に際して、政府は2,700億フォリント(約972億円、1フォリント=約0.36円)の援助を行った」としている。

HIPAと大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の最新データによると、ハンガリーには現在、韓国系企業261社が進出しており、約2万人を雇用している。ちなみに日系企業の進出状況については、ジェトロの調査(2021年夏季)によると、進出企業数が184社(うち製造業55社)、雇用人数は約3万人となっている。

(注)ハンガリーは、EU各加盟国の新型コロナウイルス対応策へのEU国家補助ルールの柔軟な適用を認める「国家補助に関する暫定的枠組み(The State aid Temporary Framework)」に基づき、競争力強化を目的とした投資事業を実施する企業に、2020年から無償補助金を給付している。外資系やハンガリー系に関係なく給付される。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、韓国、日本)

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