韓国のエコプロBM、EV用正極材の生産でハンガリー進出

(ハンガリー、韓国)

ブダペスト発

2021年12月16日

韓国を訪問中のシーヤールトー・ペーテル外務貿易相の12月8日付ツイートとハンガリー投資促進庁(HIPA)の同日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、韓国のエコプロBMがハンガリー東部のデブレツェン市に電気自動車(EV)搭載用リチウムイオンバッテリーの正極材工場を建設することになった。

同社にとって国外初の製造拠点となる本件は投資額が7億2,800万ユーロで、631人を雇用し、EV約135万台分に相当する年間10万8,000トンの正極材を生産する予定だ。第1フェーズは2024年後半に完了し、第2フェーズはその1年後に完了する計画と報じられている。なお、ハンガリー政府による補助金については、欧州委員会への正式通知後に公開されることとなっている。

エコプロBMのクォン・ウソク最高経営責任者(CEO)は「成長著しい欧州市場は、わが社の競争力あるエコシステムを拡大するための重要なビジネスチャンスと判断し、欧州市場への参入を決定した。デブレツェン市は他の進出候補国と比べて多くの点で有利な条件がそろっていただけでなく、ハンガリー政府や同市の友好的で積極的な対応も意思決定に大いに役立った」と説明した(「ニュース1コリア」12月9日)。

ハンガリー第2の都市であるデブレツェン市(人口約20万人)には、EV関連での産業集積が始まっている。ドイツのBMWは、2025年稼働開始予定のデブレツェン工場(2018年8月3日記事参照)について、2020年9月、同社のEV移行推進の要とすることを発表している。また、中国のセムコープも、デブレツェン市に工場を建設し、車載用リチウムイオンバッテリーのセパレーターフィルムを2023年から生産する予定(2020年11月24日記事参照)。同市のパップ・ラースロー市長は今回の発表を受けて、「エコプロBMの進出により、デブレツェン市のバッテリー生産地としての役割がさらに強化される」と述べたと報じられた。

今回の投資はハンガリーにとって、韓国のSKイノベーションに次いで2021年2番目に大きな投資となる。報道によれば、シーヤールトー外務貿易相は「自動車産業はハンガリーにおける製造業生産全体の3割を占める主要産業だ。ハンガリーの今後の経済成長のためにはEV関連分野への投資をこれまで以上にハンガリーに呼び込むことが非常に重要」と述べた。

ハンガリー投資促進庁は「需要の継続的な増加に加え、財政的・物流的な観点から、最大手の自動車メーカーにとっては、将来の車載用バッテリーを極東から輸入するのではなく、欧州で生産することが不可欠となっている。今回の投資の決定は、ハンガリーがエレクトロモビリティの分野で重要な役割を果たすために役立つ」とコメントした。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、韓国)

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