国内取引と対外貿易の連結性向上への具体策発表

(中国)

北京発

2022年01月26日

中国国務院弁公庁は1月19日、「内外貿易一体化発展の促進に関する意見」(国弁発〔2021〕59号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。国内取引(注1)と対外貿易の一体化は強大な国内市場の形成と「双循環」(注2)のスムーズな実施に資するとの認識の下、2025年までに以下の取り組みを実施し、国内取引と対外貿易の効率的な実施、融合的発展の実現を目指す。

(1)国内取引と対外貿易間の法律・規則、監督・管理体制、経営資格、品質標準、検査・検疫、認証・認可などのより効果的な連携。

(2)市場主体による国内取引と対外貿易が一体となった発展レベルの向上。

(3)国内外の連絡ネットワークの整備。

(4)政府の管理サービスの持続的な改善。

(5)国内取引・対外貿易一体化に向けた調整・コントロールシステムの健全化。

具体的には、(1)国内取引・対外貿易の一体的な制度システムの整備、(2)国内取引・対外貿易が一体となった発展能力の強化、(3)国内取引・対外貿易の融合的発展の加速化など4分野・15項目における取り組み内容が記載されている(添付資料表参照)。国際基準・ルールに合わせた国内の基準・ルールの変更、輸出向け生産能力・製品の国内向けの転換、企業の外国展開支援、専門人材育成などを通じて、国内市場と外国市場の連結性をさらに高めていく意向とみられる。

商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は「国内市場(向け製品)と外国市場(向け製品)間の標準認証や監督基準が異なることが、対外企業が輸出製品の国内販売向けへの転換に当たって大きな妨げになっている。国内外の市場・資源を活用するにはさらに詳細な規定が必要であり、関連規定や標準認証に関するワンストップサービスも必要」としている(「毎日経済新聞」1月20日)。また、対外経済貿易大学国際経済研究院の桑百川院長は「輸出から国内販売に転換する製品の標準と国内販売製品の標準には大きな違いがあり、国内取引と対外貿易間の調和の取れた発展の妨げとなっている」としている(同)。

(注1)中国では小売り、卸売りなど含めた国内での取引の総称を「国内貿易」、通常の輸出入を「対外貿易」と呼ぶ。

(注2)「双循環」は2020年4月の中国共産党中央経済委員会第7回会議で習近平総書記が「国内大循環を主体とし、国内と国際の2つの循環が相互に促進する新たな発展局面」として提起したとされる。同年10月に採択された「第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標」では、「国内大循環」について「生産、分配、流通、消費について需要が供給を牽引し、供給が需要を作り出す高レベルの動的均衡により、国民経済の良好な循環を促進する」としており、「双循環」は「内需と外需、輸入と輸出、対内投資と対外投資の協調的発展により、国際協力・競争の新たな優位性を育成する」とされている。

(河野円洋)

(中国)

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