米国がEastMedへの支援政策の方向性を転換

(イスラエル、米国、ギリシャ、キプロス)

テルアビブ発

2022年01月24日

イスラエルの現地紙「エルサレム・ポスト」紙(1月18日)は、「EastMed」(東地中海で産出される天然ガスを欧州市場に送るパイプラインの建設計画)について、米国が今後の支援政策の方向性を転換する旨を、ギリシャ政府に通達したと報じた。

EastMedは、ギリシャをはじめ、キプロス、イスラエルが建設に合意しており(2020年1月27日記事参照)、この3カ国にエジプト、ヨルダン、パレスチナを加えた東地中海ガスフォーラム(EMGF)が発足するなど、域内における天然ガスの産出・供給についての国際協力体制が立ち上げられてきていた(2021年1月6日記事参照)。

米国務省は1月10日、在ギリシャ米国大使館発として声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。声明によれば、米国はギリシャ、キプロス、イスラエルの3カ国に米国を加えた「3+1」など、当該地域の安定と協力に向けた仕組みへの関与と支援を引き続き強く進めていくとした一方で、これまで天然ガスのパイプラインを建設するとしてきたEastMedの計画について、今後は「国際連系線」を通じた国際送電網の構築支援に焦点を移すとした。

天然ガスそのものを送るパイプラインではなく、発電した電力を送る送電網にシフトすることで、天然ガス以外の再生可能エネルギーで発電された電力も併せて送電できるメリットがあるとしている。国際間での電力融通にも活用できるといったインフラとしての柔軟性を重視した可能性もある。

従来の計画では、東地中海で産出された天然ガスを、パイプラインを通じて欧州市場へ供給することが企図されていた。しかし、前述の「エルサレム・ポスト」紙によれば、3カ国が2025年までに総工費60億ユーロ規模の計画を掲げているが、そのための財源が確保されていないとされている。この点について、費用の償還期間が15~20年と長く計画されていることから、欧州のカーボンニュートラルの達成時期に間に合わないため、公的資金の確保が実現できない可能性が高かったと指摘する専門家の意見もある。

EastMedをめぐっては、海底ガス田探索とその供給に係る利権のみならず、キプロスをめぐるギリシャとトルコの対立など、域内の不安定要素をはらむ議論が続いてきたが、今回の米国の支援政策転換によって、どのような動きが現れてくるのか、今後も注視が必要となっている。

(吉田暢)

(イスラエル、米国、ギリシャ、キプロス)

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