新型コロナ対策めぐり米シカゴ市と市教職員組合が対立、12日から授業再開の見込み

(米国)

シカゴ発

2022年01月11日

米国シカゴ市の教職員組合は1月4日、新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、学校の安全確保策についてシカゴ市と合意が得られない、もしくは、感染拡大が収まらない限り、1月18日までオンライン式の授業に切り替えるとの対応方針案を提示し、組合員投票を実施した。投票者の73%がこの方針案に賛成したことを受け、教職員組合はシカゴ市に対しオンライン式の授業への切り替えを提案した。しかし、シカゴ市は対面授業の継続を主張し、両者の交渉は決裂。結果として、市内の公立学校で1月5日から対面式・オンライン式を問わず、授業が中止される事態に至っている。

同市の感染状況は6日時点で、7日間平均の感染者数は1日当たり4,793人で、前週より7.6%減少したものの、依然として高い水準で推移している。

公立学校での新型コロナウイルス感染対策をめぐっては、2021年にオンライン式授業から対面式授業を再開する際、教職員組合とシカゴ市が交渉し、教室の換気設備やモニタリング装置の設置など1億ドル規模の対策を講じた経緯がある。教職員組合は今回、ワクチン未接種の教職員や希望する生徒への毎週の検査実施、N95などのサージカルマスクの職員や生徒への配布、学校でのワクチン接種の機会提供などを要求している。市側は、検査は準医療行為のため、これを受ける判断を親から奪うことに特に難色を示しているという。

ロリ・ライトフット市長は「生徒を人質に取ることは許されない。生徒が学校で授業を受けられるように断固として交渉する」としている。教職員組合のステイシー・デービス・ゲイツ副会長は「安全対策に必要不可欠な条件を引き出すために、毎回こうした交渉をしなければならないことに非常に腹が立っている」と発言している。また、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は1月10日、「バイデン大統領は学校再開の立場を明確にしてきた。子供のメンタルヘルスにとって喫緊の問題であり、子供が教室にいることが必要不可欠ということを今後も伝えていく」と述べている。

その後の交渉でシカゴ市と教職員組合は合意に達し、ライトフット市長は12日に授業を再開することを発表した(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版1月10日)。

(藤本富士王)

(米国)

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