EU理事会、新型コロナワクチンの2回目のブースター接種実施について検討

(EU)

ブリュッセル発

2022年01月25日

EU理事会(閣僚理事会)は1月21日、保健担当相理事会の非公式会合をオンライン形式で開催した。EU全域で新型コロナウイルスのオミクロン型変異株の感染が拡大していることを受けたもので、2回目のブースター接種(4回目のワクチン接種)を含めた新型コロナの中期的な対策が議論された。

欧州委員会のステラ・キリヤキデス委員(保健衛生担当)は会合で科学的な知見に基づいた判断をすべきとした上で、「4回目の接種が必要だと結論付けるデータが確認された際に、即座に接種を開始できるよう準備が必要」と指摘。必要に応じて4回目の接種を速やかに実施する準備をEU各加盟国に要請した。今回の会合では、2回目のブースター接種の実施に関する具体的な合意はなされなかったものの、接種間隔や対象となる住民の選定などの情報を共有するとしており、2回目のブースター接種に向けた方向性が示されたかたちだ。

また、キリヤキデス委員は2回目のブースター接種の実施に必要なワクチンの確保に関して、欧州委の準備は既にできていると強調した。EUでは加盟国を代表して欧州委がワクチンを共同調達しており、米国ファイザー製ワクチン(24億回分)や米国モデルナ製ワクチン(4.6億回分)を中心に、既に受領した分を含め、最大で42億回分のワクチンの事前購入契約を締結している。キリヤキデス委員は、変異株に対応した次世代ワクチンが開発された場合には、事前購入契約に基づき、次世代ワクチンの供給を受けることも可能だとした。

2回目のブースター接種をめぐっては、EUの医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)が1月11日に、一般住民を対象にしたブースター接種の短期間での繰り返し実施に関して、否定的な見解を示したばかりだ(2022年1月13日記事参照)。しかし、一部の加盟国では、2回目のブースター接種実施に向けて既に動き出しており、ハンガリーでは、1回目のブースター接種から4カ月が経過した18歳以上の希望者に対して、2回目のブースター接種を実施するとしている。また、免疫不全疾患のある人に限定されるものの、デンマークとスウェーデンも2回目のブースター接種を勧告している。

(吉沼啓介)

(EU)

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