若年層ターゲットに日本産酒類の取り扱い目指す、大連の輸入業者に聞く

(中国、日本)

大連発

2022年01月21日

中国では、日本産食品への消費者のニーズが年々高まっている。日本の農林水産省によると、2021年1~11月の日本の中国向け農林水産物・食品の輸出額は前年同期比38.5%増の2,024億円で、2020年まで16年間首位だった香港(1,977億円)を抜いて1位となっている。

中国側の輸入企業でも、日本産食品の取り扱いに積極的な企業がある。日本製のキッチン用品や日用品の輸入販売を行う大連良品生活貿易(遼寧省大連市)は、2021年12月から梅酒をはじめとしたリキュール類の輸入に向け、新たに日本の生産企業との商談を行っている。その背景、今後の展開などにつき、姜征海総経理に聞いた(1月11日)。

(問)なぜリキュール類の日本メーカーとの接触を始めたのか。

(答)ジェトロのJapan Mall事業に参加し、中国での日本酒類の販売に商機があると感じた。近年、若者に人気があるリキュール類を天猫や京東などの越境ECサイトで販売し、今後の日本酒類の販売展開の足掛かりにすることを決めた。特に天猫は1990年代以降生まれの20代の顧客が多く、これらの層への販売を試みることにした。リキュール類は若年消費者が試してみようと気軽に手を出せる価格帯でもある。

(問)商品を選定するポイントは。

(答)当社が商品を選定する際のポイントは2つ。1つ目は、味とアルコール度数だ。従来、甘くてアルコール度数の低い梅酒などのリキュールは、女性が飲むものというイメージが強かったが、最近では若い男性も好む傾向にある。フレーバーはユズやモモが人気だ。2つ目は、パッケージデザイン。日本のリキュール類は鮮やかなパッケージが多く、見た目が良い。透明な瓶ではなく、加工の施された瓶も人気だ。

(問)越境ECサイトで販売する際のポイントは。

(答)中国ではリキュール類の認知度は低く、一部の消費者には味がイメージしにくいため、消費者を魅了する商品写真や、生産工程が分かる動画などでのプロモーションが重要だ。中でも、生産現場や日本国内での販売風景などを提示することで、安心安全で信頼できる商品というPRにつながる。商品プロモーションは日本企業と連携して進めていきたい。越境 EC の対象となる商品では、現状「1 回当たりの取引金額 5,000 元(約9万円、1元=約18円)以内、個人の年間合計取引金額 2 万 6,000 元以内」という取引限度内の場合、「輸入関税」が免除されることから、関税率の高いリンゴ酒の輸入などではメリットが大きい。

(問)日本産の酒類輸入で日本企業との取引の課題は。

(答)日本のメーカーの中には従業員の高齢化が進み、日頃の電子メール対応やパソコンを使用した書類作成・提供などのスピードが遅いと感じる場合もある。また、一定規模の数量を提供してもらう必要があるため、生産量も課題だ。日本国内販売向けのほかに海外向けの在庫を保有していないと継続的な取引が難しいとみている。

(問)今後の展開について。

(答)20代を主なターゲットとした、越境ECサイトでの梅酒などリキュール類の販売と並行して、中国で注目度が近年高まっている日本酒バーなどの実店舗への販売も視野に入れている。現在はリキュール類を生産する日本企業数社と商談を行っており、商品選定の段階にあるが、状況を踏まえて今後は他の酒類の取り扱いも検討する予定だ。

(山口はるか)

(中国、日本)

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