カナダ・ケベック州首相、ワクチン接種拒否者へ健康税負担を示唆

(カナダ)

トロント発

2022年01月13日

カナダ・ケベック州のフランソワ・ルゴー州首相は1月11日、新型コロナウイルスワクチンを一度も接種しようとしない州内の成人に対して、今後数週間のうちに「健康税」を課す方針と発表した。税額については明らかにしなかったが、予防接種を受けるインセンティブとして十分な金額、すなわち50カナダ・ドル(約4,600円、Cドル、1Cドル=約92円)や100Cドル以上の「相当な」額にしたいと述べた。

ケベック州の1月11日付の発表では、住民の12.8%がワクチン未接種だが、新型コロナウイルスによる集中治療室入院患者の44%は未接種者が占める。

発表を受け、ジャスティン・トルドー首相は翌12日、いかなる税や料金もカナダ保健法(医療への普遍的アクセスを保証する連邦法)に従わなければならないとした上で、「どのような措置かを正確に知る必要があり、今後具体的にどのように展開されるのか、詳細に見ていくことになる」とコメントした。また、ジャンイブ・デュクロ連邦保健相も、「連邦レベルではワクチンの義務化も有効なことを実証済みだ」と述べ、連邦政府公務員の接種率は、ワクチン接種義務化後(2021年8月19日記事参照)、99%近くに上っていることを明らかにした。また、各州や準州での、レストランやバーなどへの入場を制限するワクチンパスポートプログラムも、全国で接種率を推定6~10%分押し上げたことから、ケベック州が実施しようとしている金銭的な罰則について既存の制度にどのように適合するかはまだ分からないと述べた(CBCニュース1月12日)。

カナダ保健法への準拠について、ダルハウジー大学政治学部で医療政策・統治が専門のキャサリン・フィールベック教授は「(医療)サービス提供の時点で(納税が)要求され、支払わなければ(医療)サービスの拒否につながる場合のみ、カナダ保健法に違反するだろう」と述べ、政策そのものはカナダ保健法には抵触しないものとみられるとの見解を示した。また、同教授によると、ケベック州提案のワクチン接種拒否者への課徴金は、オンタリオ州などが州税に加えて適用している健康保険料モデルに類似しており、「健康税」を支払わない場合のペナルティーは、税金を払わない場合のペナルティーと同等だという(「グローブ・アンド・メール」紙1月12日)。

ケベック州では発表を受け、1月10日時点で5,000人程度だったワクチン接種予約者数が11日には7,000人以上に増加した。

各州の反応としては、オンタリオ州保健局の最高医療責任者のキーラン・ムーア博士が、同州がワクチン接種を受けない人に対する税金を導入することはないと記者会見で明らかにした。また、ブリティッシュ・コロンビア州のエイドリアン・ディックス保健相も、同州のワクチン接種キャンペーンは罰則なしで既に成功しているとし、「(ケベック州と)同様の措置をとることはないと断言できる」と述べた(CTVニュース1月12日)。

(飯田洋子、江崎江里子)

(カナダ)

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