2021年のGDP成長率は7.2%、経済回復で物品サービス税引き上げへ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年01月05日

シンガポール貿易産業省(MTI)は1月3日、2021年通年のGDP成長率が速報値(注)で7.2%だったと発表した。2020年のGDP成長率は新型コロナウイルスの影響でマイナス5.4%と1965年の独立以来最大の落ち込み幅になったが、2021年にプラス成長へ転換した。政府は国内経済が新型コロナ禍から回復しつつあるのを受けて、物品サービス税(GST)の税率を現行の7%から9%へと引き上げる方針だ。

MTIの発表によると、2021年のGDPの分野別では、製造業が前年比12.8%増だったほか、建設は18.7%増だった。サービス業も5.2%増加した(添付資料表参照)。リー・シェンロン首相は12月31日、新年に向けた国民へのメッセージで、シンガポール経済が徐々に回復基調にあり、新たな混乱事態が生じない限り、2022年に公式予測の「3.0~5.0%成長」を達成する見通しだと述べた。

リー首相は演説の中で、同国経済の回復を受けて、GST引き上げに向けて「行動を開始する必要がある」と述べた。2018年2月19日に当時のヘン・スウィーキート財務相(現副首相)は、人口高齢化に伴う保健歳出の増加などの財源確保のために、2021~2025年中にGSTの税率を7%から9%に引き上げる計画を明らかにしていた(2018年3月27日記事参照)。リー首相はGST引き上げについて、「国内のヘルスケアシステムを拡大し、高齢者の支援スキームのために追加財源が必要だ。裕福な人はより多く(財源に)貢献するべきだが、全ての人が少なくも一部を貢献するべきだ」と語った。

GST引き上げの具体的な時期については、2月18日に発表予定の2022年度予算案で明らかになる予定だ。同首相は「2022年度政府予算は、シンガポールの次の発展段階に必要な安定的で持続的な政府財源の基本になる」と指摘した。

(注)速報値は、2021年10~11月の統計に基づく。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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