新規感染者数は高止まりも、社会生活を優先しロックダウンを解除

(オランダ)

アムステルダム発

2022年01月27日

オランダのマルク・ルッテ首相とエルンスト・カイパース保健・福祉・スポーツ相は1月25日、記者会見で1月26日からの新型コロナウイルスに関する規制緩和について発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の緩和は、閉鎖の対象となっていた飲食店(テークアウトを除く)、映画館、美術館、劇場などの営業再開を含め、全ての施設に対して午前5時から午後10時までの営業を可能とする内容で、事実上のロックダウン解除となった(2021年12月21日記事参照)。

現在も連日5万人から6万人の過去最高水準の新規感染者数を記録しており、今回の緩和によって新規感染者数のさらなる増加が予想されるものの、規制の継続が社会生活に与える影響の方が大きい、と政府が判断した結果だ。今回の発表された内容は以下のとおり。原則在宅勤務の要請は継続となる。さらなる緩和については、3月8日に決定する予定とした。

【1月26日から適用された措置】

○全ての場所で午前5時から午後10時まで営業可能。

○自宅に招くことができる13歳以上の人数は1日4人まで。

○13歳以上は、公共交通機関、小売店、美術館、映画館、飲食店などの公共の場においてマスク着用を義務付け。ただし、映画館、劇場、飲食店での着席中はマスク着用義務はなし。

○飲食店、劇場、映画館など全ての屋内公共施設では着席が必須。

○飲食店、劇場、コンサートホール、美術館、映画館、動物園、遊園地、サウナ、カジノなどへの入場に際し、13歳以上はコロナエントリー・パス(ワクチン接種証明、24時間以内の陰性証明、回復証明)の提示が必須。スポーツ施設の場合は18歳以上が提示対象。

○美術館など人の流れがある施設では、5平方メートル当たり1人、1部屋当たり最大1,250人の収容が上限。

○座席が指定されている施設では、1.5メートルの間隔が保てる範囲で最大の収容が可能。

○スポーツ、イベント、芸術・文化活動の収容人数は1,250人が上限。

○フェスティバルなど座席が指定されてないイベントの開催は不可。

○座席が指定される1,250人以上の大規模イベントは、屋外でのみ認められる。

【検疫・自主隔離に関する措置】

陽性者と接触した場合でも、無症状であることに加え、以下の要件に当てはまる場合、自主隔離は不要。

○幼児教育・保育、初等教育、中等教育に通う児童・生徒。

○18歳未満の中等職業教育(MVO)または高等教育(HBOおよび大学)の生徒。

○重要な職業(エッセンシャルワーカー)で、雇用主との協議で合意した場合。

○1週間以上前にブースター接種を受けた場合。

○8週間以内に新型コロナウイルス感染症の陽性になった場合。

症状がある場合には以下の措置が適用される。

○家にとどまり、すぐに自己検査をすること。

○自己検査において陽性となった場合、できるだけ早く保健所(GGD)で検査を受け、その結果が陽性となった場合には自宅で自主隔離すること。

また、全ての状況において、陽性者との最後の接触から10日間は、高齢者や脆弱(ぜいじゃく)な人との接触を避けることが求められる。

(下笠哲太郎)

(オランダ)

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