対内製造業投資は新型コロナ禍でも好調、2021年1~9月は前年同期比2.3倍

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年01月07日

ジェトロが12月24日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、2021年1~9月の製造業の対内投資認可額は、前年同期比約2.3倍の917億4,389万リンギ(約2兆5,688億円、1リンギ=約28円)だった。国内投資も含めた投資認可総額のうち88.3%を占め、「新型コロナ禍」の中でも好調だった。

業種別では、全体の約7割を占める電気電子製品が前年同期比10.2倍の629億リンギ、14.2%を占める加工金属製品が41.2倍の130億リンギへとそれぞれ急増した(添付資料表1参照)。電気電子製品では、中国の東方日昇新能源(ライセンエネルギー)による太陽電池・モジュール製造拠点の設立(ケダ州、422億リンギ相当)により金額が大きく膨らんだ。同案件は、マレーシア政府が2020年6月に発表した「短期経済回復計画(PENJANA)」の下、同国に拠点を移転する外資誘致策として承認された最初の投資案件だ。

東方日昇新能源はシンガポール拠点から出資を行ったため、2021年1~9月期のシンガポールからの投資も前年同期比5.7倍の437億リンギと急増し、全体の伸びのうち約9割以上に寄与した(添付資料表2参照)。次いで、中国(11.7%減の146億リンギ)、オーストリア(109億リンギ)、韓国(4.6倍の63億リンギ)、日本(4.3倍の62億リンギ)、オランダ(2.0倍の37億リンギ)と、中国や米国を除く主要国からの投資はいずれも堅調だった。MIDAはこれらの国からの投資案件として、オーストリアの電子部品メーカーAT&Sによる高性能プリント回路基板の工場設立(ケダ州、約85億リンギ)、韓国化学素材メーカーSKネクシリスによる銅箔(はく)製造拠点新設(サバ州、約23億リンギ)、オランダ半導体メーカーのネクスペリアによる生産増強(ネグリスンビラン州、約16億リンギ)などに言及した。

対内投資元国として第5位に浮上した日本は、約7割を占める電気電子製品向けの投資が前年同期比10.2倍の42億リンギへと急増、それに次ぐ科学・計測機器も19億リンギの投資だった(添付資料表3参照)。日本からの大型案件としてMIDAは、太陽誘電による積層セラミックコンデンサー製造拠点の新設(サラワク州、6.8億リンギ相当)を挙げており、電気電子分野の投資額拡大に同案件が寄与したとみられる。

アズミン・アリ国際貿易産業相はMIDAの投資額発表に際し、「(投資の好調な増加は)マレーシアが重要拠点であることに外国投資家が強い自信を持っている証しだ」と述べ、グローバル企業の製造ネットワークにおけるマレーシアの地位が高まっているとの見方を示した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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