新たにレアアース分野の国有企業を設立、産業集約を推進

(中国)

北京発

2022年01月05日

中国の国務院国有資産監督管理委員会は2021年12月23日、新たな中央国有企業(注)である中国稀土集団の設立を発表した。本社は江西省贛州市、資本金は1億元(約18億円、1元=約18円)。レアアースに関する研究開発、探査・開発、分離・製錬、精製加工、川下での応用、産業インキュベーション、技術コンサルティング、輸出入などについての業務を行う。

持ち株比率は、国有資産監督管理委員会が31.21%、贛州稀土集団、中国鋁業集団、中国五鉱集団がそれぞれ20.33%、中国鋼研科技集団、有研科技集団がそれぞれ3.9%。

これまで、中国のレアアース産業は、中国稀有稀土(中国鋁業集団子会社)、中国北方稀土(集団)高科技、五鉱稀土集団(中国五鉱集団子会社)、アモイ鎢業、中国南方稀土集団(贛州稀土集団子会社)、広東稀土産業集団の大手6社が主導してきた。中国稀土集団の設立により、中国稀有稀土、五鉱稀土集団、中国南方稀土集団が中国稀土集団の傘下に入ることとなり、当該産業は大手4社に集約されることとなる。工業・情報化部が2021年9月に発表した各社に対するレアアースの生産割当である「2021年レアアース採掘・製錬分離総量コントロール指標」(工信部聯原[2021]123号)をみると、割当量をそのまま引き継いだ場合、全割当量のうち、中国稀土集団の割当量は軽稀土類で32.6%、中・重稀土類で67.9%、製錬・分離製品で35.7%を占める(添付資料表参照)。

中国企業連合会の劉興国研究員は、中国稀土集団の設立は中国の国際市場での競争力、バーゲニングパワーの強化につながるほか、関連技術開発や排出処理を統一的に進めることにより、二酸化炭素排出量削減にも資するとしている(「人民網」2021年12月25日)。

(注)国有資産監督管理委員会が、中国政府を代表して、出資者としての権限を行使する国有企業。

(河野円洋)

(中国)

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