2021年のインフレ率は7.2%、中銀は金利を5.5%に引き上げ

(チリ)

サンティアゴ発

2022年01月28日

チリ統計局(INE)の1月7日付発表によると、2021年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)は前月比0.8%だった(添付資料図参照)。前年同月比では7.2%(2021年の年間インフレ率と同義)となり、中銀の予想値6.9%を0.3ポイント上回り、過去14年間で最大のインフレ率を記録した。

上昇率を費目別にみると、前月比で上昇率が高かったのは、交通(2.6%)、娯楽・文化(1.4%)、レストラン・ホテル(1.3%)で(添付資料表参照)、交通は主に燃料価格の上昇が押し上げ要因だった。食品・飲料は、前月比0.5%増、前年同期比5.5%増だった。最も上昇したのは鶏肉や牛肉などの肉類、続いて主食のパンやシリアルの価格が上昇した。

ロドリゴ・セルダ財務相は、ここ数カ月の継続的なインフレは政府による「新型コロナ禍」による支援策や年金の一部引き出しなどの影響を受けていると指摘。チリ銀行のエコノミスト、ロドリゴ・アラベナ氏は、インフレは米国や欧州など世界的な傾向でもあるが、チリは年金の一部引き出しや財政支出の拡大、国内の不確実性を反映した通貨ペソ安の進行がインフレを助長しているとコメントしている(「エル・メルクリオ」紙1月8日)。

中銀は1月26日、インフレの加速を受けて、政策金利を1.5ポイント引き上げ、4.0%から5.5%にすると発表した。今回で5会合連続の利上げとなる。現地エコノミストや調査機関は、今後も利上げ局面が続き、「政策金利は6.5~8.5%まで引きが上げられる」と予想しており(「エル・メルクリオ」紙1月27日)、次回3月末に行われる金融政策会合でも利上げが見込まれている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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