EU理事会が入域制限解除国リストを改定、アルゼンチン、オーストラリア、カナダを除外

(EU、EFTA)

ブリュッセル発

2022年01月18日

EU理事会(閣僚理事会)は1月17日、新型コロナウイルス対策に伴うEU加盟国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注1)以外の国・地域からの不要不急の入域制限措置の解除に関する、2020年6月30日付理事会勧告(2020年7月1日記事参照)の対象国・地域リストを見直す勧告を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。今回の勧告により、アルゼンチン、オーストラリア、カナダの3カ国が除外された。新たに追加された国はなかった。

なお、オミクロン株の対策として、2021年11月26日に南アフリカ共和国など南部アフリカ地域の7カ国(注2)を対象に発動していた一時的な入域制限策である「緊急抑制メカニズム」(2021年11月29日記事参照)は、2022年1月10日に解除することで合意した。このことから、同地域から域内への直行便は既に一部が再開されている。

EUは現在、EU理事会が勧告する入域制限解除国・地域からの入域を除き、原則として域外からの不要不急の入域制限を行うよう加盟国に求めている(注3)。今回の勧告に基づき、加盟国は、不要不急の入国を認める域外国についてあらためて判断することになる(注4)。ただし、EUは2021年5月20日付理事会勧告(2021年5月21日記事参照)で、例外的にワクチン接種完了者に対する不要不急の入域制限を原則撤廃する方針を決定しており、加盟国はワクチン接種完了者に対して、同リストに不掲載の国・地域からの不要不急の入国制限の適用外とすることができるとしている。なお、入域制限解除国・地域からの入域であっても、加盟国によっては、PCR検査結果の陰性証明の提出や自主隔離の実施などの条件(2021年2月3日記事参照)を満たすことが必要になる場合がある。

今回のEU理事会の勧告に基づく、1月17日以降の不要不急の入域制限解除国・地域はバーレーン、チリ、コロンビア、インドネシア、クウェート、ニュージーランド、ペルー、カタール、ルワンダ、サウジアラビア、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイ、中国、香港、マカオ、台湾。ただし、中国はEUとの相互主義に基づく措置を取ることを条件とする。

(注1)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイスが勧告の対象。本勧告で、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン市国の居住者はEU居住者と見なされる。

(注2)ボツワナ、エスワティニ(旧スワジランド)、レソト、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ共和国、ジンバブエ。

(注3)欧州委員会は2021年11月25日、有効なワクチン接種証明書の保持者などを対象に、不要不急の入域制限を原則として撤廃し、それに伴い、入域制限措置の解除対象国・地域リストを廃止する理事会勧告案(2021年11月26日記事参照)を発表しているが、2022年1月17日時点では採択されていない。採択された場合でも、同リストの改定は2月末までは継続するとしている。

(注4)EU理事会の勧告には法的拘束力はなく、入国管理の権限を持つのは各加盟国で、同勧告に基づき、それぞれ入国制限を実施している。

(吉沼啓介)

(EU、EFTA)

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