宅配アプリ「グロボ」、ドイツのデリバリーヒーロー傘下へ

(スペイン、ドイツ)

マドリード発

2022年01月20日

ドイツのフードデリバリー(料理宅配)プラットフォーム大手のデリバリーヒーローは12月31日、スペインの宅配アプリ最大手グロボの株式39.4%をファンドなど複数の株主から取得し、出資比率を83.2%まで引き上げて経営権を握ると発表した。この買収では、グロボの企業価値を23億ユーロと評価。規制当局による承認などを経て、2022年第2四半期(4~6月)に完了する予定としている。

グロボは、飲食店やスーパーマーケット、その他の幅広い小売店と消費者をつなぐ宅配プラットフォームとして2015年に創業。スペインから南欧や中南米を中心に急成長し、2019年には企業価値10億ユーロを超えるユニコーン企業となった。新型コロナウイルス禍以降は即配サービス(クイックコマース)の専用配送拠点の整備や、南東欧やアフリカ市場などの新興市場での展開強化など、さらなる拡大を続けてきた。

デリバリーヒーローは2018年からグロボに出資を始め、2020年9月には中南米事業を買収するなど関係を深めていた。同社にとってはグロボが持つ即配サービスのノウハウが魅力となる上、それぞれの市場を相互補完し規模を拡大することで、フードデリバリー事業のグループ全体で2022年後半の黒字化を見込んでいる。

配達員の雇用義務付けを欧州に先駆けて実施

スペイン政府は2021年8月、最高裁の判決に基づき、「デジタルプラットフォーム配達員の労働権保障法」(通称「ライダー法」)を施行。プラットフォーム事業者と配達員の間には労使関係があると見なし、単発の配達を請け負う個人事業主として位置づけられてきた配達員を従業員化することを義務付けた。また、労働者管理に使用するアルゴリズムや人工知能(AI)システムのルールや基準に労働者代表がアクセスする権利を定めた。

デジタル産業団体Adigitalは、スペインには3万人近くの配達員がいるが、新法により個人事業主が排除されると需要に連動した労働力が確保できず、郊外や中小都市でのサービス提供に影響が出ると指摘する。配達員の間でも、新法は柔軟な働き方を望む労働者の参入機会を損なうとの批判が一部で見られた。

大手プラットフォームのほとんども、スペインがEUによるギグワーカー(注)保護指令の制定を待たずに規制を導入したことに反発。大手のうち実際に配達員の完全雇用を行ったのは1社のみで、その他の事業者は配達員との間にフリート(車両)管理会社を介在する業務委託方式により直接の雇用を回避した。また、英国のデリバルーは11月末にスペインから撤退した。

その一方で、新法施行後の2021年後半にはディジャ(英国)、ゴリラズ(ドイツ)、ゲティル(トルコ)、ロケット(ウクライナ)などの新興宅配アプリが相次いで参入している。

(注)オンラインプラットフォームを通じて単発で仕事を受注する労働者。

(伊藤裕規子)

(スペイン、ドイツ)

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