バイデン米政権、上院に投票権保護法案可決を要請

(米国)

米州課

2022年01月18日

米国の各州で投票権を制限する州法を制定する動きが出る中、バイデン政権が連邦議会上院に、投票権保護法案の可決を求める声を強めている。

ジョー・バイデン大統領は1月11日にジョージア州アトランタで行った演説で、2021年だけで19州が投票権を侵害する法律を34本制定したと指摘。これまで連邦議会で投票権保護法案の審議を阻止してきた上院共和党を批判し、同法案の可決を議会に求めた。カマラ・ハリス副大統領も1月17日のキング牧師記念日に行った演説で、各州の投票権制限法により5,500万人の米国人の投票権が影響を受けると懸念を表明した。「われわれの投票の自由が攻撃を受けている」と述べ、上院に対し、下院が1月13日に可決した投票権保護法案を可決するよう迫った。

下院が1月13日に可決した法案は、「投票の自由法案」と「ジョン・ルイス投票権促進法案」を一本化した法案となる。前者は、選挙日を連邦の祝日にするほか、全有権者が郵便投票用紙を請求できるよう定める。後者は、各州が投票方法に関する変更を行う場合、司法省からの事前承認を求める。上院は、1月18日に同法案の審議開始を計画している。ただ、同法案への共和党の賛成は見込めず、民主、共和両党の議席数が拮抗(きっこう)する上院での法案可決は難しい状況だ。上院ではフィリバスター・ルール(注)により、実質的に60票の賛成がなければ法案を可決できない。こうした状況を受け、上院民主党のチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)は、フィリバスターに関わる規則変更を検討するとした(2022年1月7日記事参照)。規則変更は単純過半数で可能だが、上院民主党で中道派のキルステン・シネマ議員(アリゾナ州)とジョー・マンチン議員(ウェストバージニア州)が規則変更に反対の意向を示しており、実現のめどは立っていない。

バイデン大統領は1月11日の演説で、「民主主義を守るためには、上院規則変更を支持する」と述べ、フィリバスターにより投票権関連法案の可決が阻止された場合、同法案に限ってフィリバスターの適用除外とすることに前向きな姿勢を示している。

各州の投票権制限法は、2022年11月の中間選挙で、郵便投票を利用する有権者が多い民主党にとって不利に働くと指摘される。米国調査会社ユーラシア・グループは1月3日に発表した2022年の「世界の10大リスク」として、3位に米国の中間選挙を挙げ、共和党がほぼ確実に連邦上下院の過半数を奪取するだろうと予測している(2022年1月7日記事参照)。

(注)上院では通常、法案可決にはフィリバスター(議事妨害)を抑え込むため、クローチャー(討論終結)決議に必要な60票の賛成が必要となる。

(甲斐野裕之)

(米国)

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