商工省、中国向けドラゴンフルーツの輸出停滞への対応を指示

(ベトナム、中国)

ホーチミン発

2022年01月18日

ベトナムのドラゴンフルーツの中国市場向けの輸出が、中国政府による新型コロナウイルス感染対策の強化や、これに伴う国境付近でのコンテナ停留の影響により停滞している。このため、ベトナム商工省は、ドラゴンフルーツの輸出向け生産・輸送の工程管理を厳格化するとともに、国内消費促進に向けた各種課題の解決を図るため、農業農村開発省およびドラゴンフルーツ栽培地域の人民委員会に対して調整を要請した。1月10日付の商工省公報が伝えた。

農業農村開発省に対しては、栽培地域の人民委員会と調整し、食品のトレーサビリティや安全性に関する規則の確認と厳正な運用、新型コロナウイルス感染拡大防止のための要件を踏まえた栽培・購入・包装・選果から輸出向け輸送に至るまでの生産工程管理の厳格化を求めた。

ドラゴンフルーツ栽培地域の人民委員会に対しては、輸出用の農林水産品、特に果実の生産状況を確認するよう求めた。また、中国側がドラゴンフルーツの輸入を一時的に停止していることから、中国との国境にドラゴンフルーツを輸送しないよう、卸業者および輸出業者への周知を依頼した(注)。

果実野菜の加工業者に対しては、ビントゥアン省、ロンアン省、ティエンザン省などに保管されているドラゴンフルーツの買い付けを増やし、国内消費や輸出向けの商品に加工するよう指示を出した。

これに先立つ1月6日には、ベトナムと中国の実務担当者レベルで貿易円滑化ワーキンググループが開催され、両国の国境における、ベトナム側での物品輸送の停滞に焦点が当てられた。同会合においてベトナム側からは、一時的に停止している通関手続きの再開や果実・冷凍食品の輸入再開について要請した。中国側はベトナム側の要請に対し、ベトナムだけではなく中国も物流停滞により影響を受けること、中国政府としては感染拡大防止と国民の生命を最重視していると回答した。

写真 ビントゥアン省のドラゴンフルーツ農園(ジェトロ撮影)

ビントゥアン省のドラゴンフルーツ農園(ジェトロ撮影)

(注)現地報道によれば、ベトナムと中国の国境に位置するラオカイ省では、2021年7月18日以降に停止されていたドラゴンフルーツの輸出が2022年1月12日に再開された(「VNエクスプレス」2022年1月12日)。カオバン省など、その他の省においても、中国向け輸出再開の動きがみられる(「ザオトン」2022年1月12日)。

(比良井慎司)

(ベトナム、中国)

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