「バイブラント・グジャラート2022」開幕に先立ち、繊維産業政策を議論

(インド)

アーメダバード発

2022年01月06日

インドのグジャラート(GJ)州政府は、1月10日から開催される「バイブラント・グジャラート2022(VG2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2021年11月16日記事参照)に先立ち、新規投資案件の覚書(Memorandum of Understanding、MOU)に調印して毎週月曜に公表している。州政府によると、12月最終週までの5週間で、96件のMOUが締結された。その累積額は1兆1,448億4,000万ルピー(約1兆8,317億4,400万円、1ルピー=約1.6円)に上り、14万6,399人の雇用が生み出される見込みだ(「タイムズ・オブ・インディア」紙12月29日)。

これまで締結されたMOUには、特殊化学、ペンキ、染料、医薬品中間体、農薬製剤など、GJ州の産業を代表する化学分野をはじめ、繊維、アクセサリー、鋼管などの製造業、玩具パーク、ITパーク、アパレルパークなどの工業団地開発、大手ホテルチェーンによるホテル開発、70メガワットのハイブリッド再生可能エネルギーパーク、電気自動車(EV)充電ネットワークの構築、E-wasteリサイクルシステム、廃棄物からのエネルギーへの転換、廃棄物から石油への転換といった環境関連プロジェクト、レーダー・機器、サーマルカメラ製造といった防衛関連、大気汚染防止やウイルス・細菌除去のための特許取得済み装置の設置、スタートアップや観光業など、幅広い分野のプロジェクトが含まれている。また、産業分野以外でも、技術教育分野での学生交換プログラムや、獣医学部創設、学生インターンシップ、教育用玩具開発施設への技術支援などで、MOUが締結されている。

こうした中、GJ州政府は12月29日に「VG2022」のプレイベントと位置付けている「ウィービング・グロース・フォー・テキスタイルズ(Weaving Growth For Textiles)」を繊維産業の一大集積都市スーラトで開催した。イベントには、ブペンドラ・パテル州首相や、インド政府繊維担当相などが出席し、「メガ繊維アパレル産業パーク構想(PM MITRA)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや、繊維産業の「生産連動型優遇策」(PLI)のほか、人造繊維、衣料、テクニカルテキスタイルなど、多様な分野の政策スキームについて議論が交わされた。

このイベントで、パテル州首相は「州政府は繊維産業政策で『技術の向上、技能の強化、繊維工業団地の促進』を掲げた優遇策を採用している。GJ州の繊維産業は急速に成長しているが、スーラトの貢献は非常に大きい」と述べた。主要産業の1つとして繊維産業の集積を抱えるGJ州としては、これら繊維産業に関連した政策スキームを通じ、新規投資を通じて同産業分野を技術的に洗練させ、グローバル調達拠点としての州、さらにはインド全体の繊維製品の付加価値向上を図りたい意向だ。

1月10日には「VG2022」で「生産連動型優遇策(PLI)セッション」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの開催が予定されており、1月から申請受け付けが開始される繊維分野の生産連動型優遇策(PLI)ガイドラインについても触れられるもようだ。GJ州の有望産業の1つの繊維産業分野でもさらなる新規投資案件の積み上げが期待される。

(古川毅彦)

(インド)

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