ボリッチ次期大統領、24人の閣僚を発表

(チリ)

サンティアゴ発

2022年01月25日

チリ大統領に3月11日に就任するガブリエル・ボリッチ氏は1月21日、同氏の政権の閣僚24人を発表した(添付資料表参照)。24人中14人が女性、10人が男性で、従来の政権に比べて女性を多く起用していることに加えて、7人が30代の若さで入閣する。

24人の閣僚の内訳は、左派連合(Apruebo Dignidad)から12人、中道左派連合(Nuevo Pacto Social)から5人、無所属が7人で、ボリッチ氏の所属する社会収束党(CS)からは5人が入閣する。内相にはイスキア・シチェス氏(35歳)が任命された。シチェス氏はチリ大学卒の女性医師で、ボリッチ氏の選挙活動に加わるまではチリ医師会(Colegio Médico)の会長を務めた。内務省関連の業務経験はないものの、選挙期間中のボリッチ氏への献身的な支援が評価され、重職を得ることになったとみられている。就任後は南部の先住民問題や治安維持、安全保障などの課題に取り組むこととなる。

ほかにも、ボリッチ氏と親交の深い人物として、左派連合の民主革命党(RD)からジョルジオ・ジャクソン氏が大統領府長官に、共産党(PCCh)からカミラ・バジェホ氏が内閣官房長官に選ばれた。バジェホ氏以外にも共産党からは2人が入閣しており、ジャネ・ハラ氏が労働・社会保障相に、フラビオ・サラサル氏が科学・技術・イノベーション相にそれぞれ任命された。

中道左派連合からは、国防相に社会党(PS)のマヤ・フェルナンデス氏が選出された。同氏は中道左派ながら、派閥を超えていち早くボリッチ氏支持を表明した人物で、チリで1973年のクーデターが起こるまで大統領だったサルバドル・アジェンデ氏の孫に当たり、下院議員議長を務めた経験がある。また、ボリッチ氏の公約の1つである大規模鉱山の鉱業ロイヤルティーの増税を進めていく鉱業相には、急進党(PR)のマルセラ・エルナンド氏が選出された。

今回の閣僚発表で異例の選出となったのは、財務相に現中央銀行総裁で、元社会党所属のマリオ・マルセル氏だ。マルセル氏は、直近ではボリッチ氏ら野党が進めた年金の一部引き出し法の成立に反対していた人物で、その手腕に注目が集まっている。

ボリッチ次期大統領は「今日、民主主義の新たな道が始まる、私たち政府の使命は非常に明確で、国民の正義と尊厳が守られるように変化と変革を促進することだ」とコメントした。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 3566c76776ad4290