「国家先端戦略産業特別法」が国会で議決
(韓国)
ソウル発
2022年01月18日
韓国産業通商資源部は1月11日、「国家先端戦略産業競争力強化および育成に関する特別措置法」(以下、国家先端戦略産業特別法)が国会で議決されたと発表した。国家先端戦略産業特別法は、経済安全保障の確保および先端産業競争力の強化のため、「国家先端戦略技術」を指定し、関連産業を育成・保護することが目的。主な内容は以下のとおり。
1.政府全体で政策を推進するため、国務総理(首相)主宰の委員会を設置
国家先端戦略産業を育成するため、国務総理傘下に20人以内で構成された「国家先端戦略産業委員会」を設置し、国家先端戦略技術および同産業に対する主要支援策を審議・議決する。
2.投資・技術革新・人材など全方位的に企業成長を支援
(1)先端産業への投資を促進するため、許認可の迅速な処理のための特例、基盤施設の整備、苦情処理、ファンド創設、税額控除などのパッケージ支援を行う。
(2)国家先端戦略技術については、研究開発予算の編成の際に優先的に計上し、大規模事業を実施する際の予備妥当性調査の特例(注1)を設定。
(3)先端産業にかかる専門人材確保のため、「戦略産業総合教育センター」を設置し、実務能力の向上を図る。さらに、海外の優秀な人材を誘致するため、入国査証の特例を支援する。
3.先端産業の成長活力を高めるため、積極的な規制緩和を支援
戦略産業に関連する企業が研究開発および生産活動などに係る緩和を申請する場合、関係行政機関の長は緩和などの可否を15日以内(注2)に回答し、法令整備が不要な内容については前向きに処理する。
4.国益と経済安全保障の観点から戦略技術・人材の保護基盤を強化
(1)技術輸出およびM&Aの場合、事前承認の対象を強化しつつ、関連手続きは従来の産業技術保護法(注3)を準用する。
(2)先端産業技術の人材の保護のため、企業の申請により専門人材を指定し、企業と専門人材との間での秘密保持および転職制限などの契約を締結するための根拠を規定する。
今後は、国務会議での議決を経て公布され、公布から6カ月後に施行するとともに、国家先端戦略技術の具体化などのため、下位法令を整備する予定。
(注1)経済安全保障、サプライチェーンの安定化、未来競争力強化などを理由とする場合は、予備妥当性調査の免除を可能とする。
(注2)15日以内に回答が不可能な場合、1回に限り、最大30日以内の回答期間延長が可能。
(注3)正式名称は「産業技術の流出防止および保護に関する法律」(2021年2月3日記事参照)。
(当間正明)
(韓国)
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