巧妙化する模倣品販売、WeChat上の対策を日本企業に紹介

(中国、日本)

広州発

2022年01月21日

ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)の中国プロジェクトチームとインターネットプロジェクトチームのメンバーは1月12日、中国IT大手の騰訊科技(テンセント)との間で、模倣品対策に関するオンライン意見交換会を初めて実施した。

中国での模倣品販売は、ECサイトやライブコマース、インスタントメッセージを利用するなど、より巧妙化しつつある。同社が提供するSNSアプリ微信(WeChat)も模倣品販売に悪用される事例が近年大幅に増加している。模倣品販売業者がWeChatのモーメンツ(注2)やグループチャットの機能を使って商品を宣伝したり、ユーザーとコンタクトを直接取ったりするといったケースがみられる。

そこで、今回の意見交換会は、ブランドの権利者の立場にある日本企業がテンセントの模倣品対策に関する取り組みを知り、有効活用を図るとともに、双方の交流を通じてさらなる取り組み強化につなげることを目的として開催した。

テンセントの説明によると、同社はブランドの権利を保護するプログラムを独自に開発し、WeChat上に構築したプラットフォームで運用を強化している。ブランドを所有する企業や権利者は同プラットフォーム上で登録を済ませると、より簡便な手続きで出品された模倣品の取り下げ申請が可能となる。登録済みのブランドの模倣品については、通報者や通報された侵害者の情報を法律に基づいて入手することも可能となる。1月時点で33社の日本企業を含む約400社が同プラットフォームに登録している。

このほか、WeChatの一般ユーザーも、ミニプログラムやチャット機能などで怪しいメッセージなどを受けて通報したい場合は、各ツールの画面で「投訴」(申告)の機能を選択できる。ガイドラインに沿ってスクリーンショットや写真などの証拠を提供すれば、テンセントが審査や削除などの処理を行う。

写真 テンセントとの意見交換会の様子(ジェトロ撮影)

テンセントとの意見交換会の様子(ジェトロ撮影)

(注1)国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)は、模倣品や海賊版などの海外における知的財産権侵害問題の解決を目指す企業・団体の集まり。2002年に設立され、91団体・197企業が参加している(2022年1月時点)。中国プロジェクトチームやインターネットプロジェクトチームを含む各プロジェクトチームで具体的な活動を行っている。

(注2)写真やテキストなどを投稿し、他の利用者と共有することができる機能。企業の広告やプロモーションでも同機能が活用されている。

(謝暁儀)

(中国、日本)

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