IMF、アジア新興国地域の2022年成長見通しを5.9%に下方修正、中国経済の減速響く

(ASEAN、中国、インド、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム)

アジア大洋州課

2022年01月27日

IMFは1月25日発表の「世界経済見通し(WEO、2022年1月改定見通し)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、アジアの新興・途上国地域の2022年の実質GDP成長率を前年比5.9%とする予測を発表した。前回2021年10月の発表より0.4ポイント引き下げた(添付資料表参照)。世界全体の成長率も前回発表から引き下げ(0.5ポイント減)となる中、アジアについては、米国と並び、世界における2大経済大国の1つである中国の予測の下方修正が大きく反映されるかたちとなった。また、2023年については5.8%と、前回発表から0.1ポイント引き上げた。

IMFは、中国の2022年の成長率について、前回発表から0.8ポイント減の4.8%と予測。引き下げの要因については、(1)同国の厳格な新型コロナウイルス感染防止政策に起因する国内消費の低迷、(2)不動産開発事業者に対する規制に伴う同分野への投資の減退、の2点を指摘した。

なお、アジアの新興・途上国・地域における経済見通しについては、世界銀行が2022年1月11日、東アジア・大洋州の新興国・地域の実質GDP成長率見通しを引き下げる予測を発表している(2022年1月19日記事参照)。IMFと同様、中国経済の減速をその要因に挙げている。

ASEAN主要5カ国の成長率予測は0.2ポイント減の5.6%

ASEAN5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の2022年の成長率予測は5.6%とし、前回予想から0.2ポイント引き下げた。2023年については、前回発表を据え置き6.0%と予測した。

なお、今回の発表に合わせて公開されたWEOデータベースの資料では、ASEAN5カ国のうち、ベトナムを除く4カ国についてそれぞれの見通しが発表された。2022年の見通しについて、成長率が高い順に、フィリピンが6.3%(前回発表から据え置き)、マレーシア5.7%(0.3ポイント減)、インドネシア5.6%(0.3ポイント減)、タイ4.1%(0.4ポイント減)との予測となり、フィリピンを除く3カ国は下方修正された。

(三木貴博)

(ASEAN、中国、インド、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム)

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