在香港日系企業の2021年7~12月期の景況感、前期からやや減速

(香港)

香港発

2022年01月26日

ジェトロは在香港日本総領事館と香港日本人商工会議所と共同で、在香港の日系企業などを対象にした「第9回 香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」を実施(1月3~7日)した。

今後のDI見込み値はプラスを維持も低下

2021年7~12月期のDI値(注1)は、4月~6月期と比べ4.3ポイント低下して19.1となった(注2)。2022年1~6月期のDI値(見込み値)は、2021年7~12月期より15.4ポイント低下の3.7だった(添付資料図参照)。

業績悪化の最大要因、「新型コロナウイルス」が約7割

業績悪化の最も大きな要因を聞いたところ、「新型コロナウイルス」を挙げた企業が68.1%と最も多く、次いで「中国の景気動向」が14.3%だった。11.6%を占めた「その他」の中では、「半導体等の不足やサプライチェーン等の乱れ」などを挙げる回答がみられた。

国家安全維持法で約7割が「影響は生じていない」と回答

香港国家安全維持法について「大いに懸念している」(8.8%)、または「懸念している」(42.2%)との回答は全体の51.0%となった。一方、法施行の影響について「影響は生じていない」との回答が66.9%と最も多く、「現時点では分からない」が20.2%と続いた。「マイナスの影響が生じている」との回答は12.5%だった。

業務遂行上の最大の支障は渡航規制

業務遂行上で最も困っている点を自由記述方式で聞いたところ、回答した企業のうち約64%(89社)が新型コロナウイルス対策に伴う「渡航規制等による営業活動の制限」に言及した。その他、「人材確保の難化」などが挙がった。

約4割が「本社は香港の実情を悲観的に認識」と回答

本社による香港の評価では、36.6%が「実情を悲観的に認識している」と回答。「実情を正確に把握している」(24.8%)を上回った。また、悲観的に認識する要因として「日本国内での報道が悲観的過ぎるから」との回答が67.7%で最大だった。悲観的に認識することによるビジネスへの影響として「拠点縮小の検討を指示されたり、促されたりしている」との回答が42.9%となった。

(注1)DI値はDiffusion Indexの略で、「改善」と回答した企業の割合から「悪化」「大幅悪化」と回答した企業の割合を差し引いた数。

(注2)本調査は2019年9月に第1回を実施。今回(第9回)調査から、実施頻度を従来の四半期に1回から、半年に1回に変更した。

(野原哲也)

(香港)

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