IMFとの債務再編交渉に進展、経済政策プログラムで合意

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年01月31日

アルゼンチン政府とIMFは1月28日、約450億ドルの債務再編に向け、経済政策プログラムについて合意した。IMFは、「IMFスタッフとアルゼンチン政府当局は、IMF支援プログラムに関する継続的な議論の一環として、主要な政策について理解に達した」との声明を出した。IMFは「合意」を明確にしなかったが、アルベルト・フェルナンデス大統領は、1月28日付大統領府公式ウェブサイトを通じ「合意した」と発表した。双方は今後、事務レベルでの合意に向けて作業を継続する。その後、その内容をIMF理事会が承認、アルゼンチン側では議会承認を経て、最終的な合意となる。

マルティン・グスマン経済相は1月28日、記者会見で、IMFスタッフと財政収支、財政・金融政策、インフレ、為替政策の4つの分野におよぶ2年半の経済政策プログラムで合意したと説明した。新たな融資については、拡大信用供与措置(EFF)による約445億ドルの支援を受けるべく交渉している、と説明した。グスマン経済相によれば、融資は、2018年のスタンドバイ取り決めに対して行われ、経済政策プログラムの状況を定期的にレビューしつつ、スタンドバイ取り決めによる融資の満期日に、EFFによる融資の払い込みが行われるようだ。新たな融資の返済は、合意から4年半~10年の間に行うとし、返済時期については最終的な合意を待つ必要がある。また、IMF以外の国際機関からの融資については、個別に交渉を行う。

IMFは声明で、「政府支出の構成を改善するためには、エネルギー補助金を漸進的に削減する戦略が不可欠であることに合意した」と述べたが、グスマン経済相はこの点について、記者からの質問に対し回答を避けた。経済財政プログラムは2022年から2024年までの財政赤字のGDP比の目標を掲げているが、財政支出の削減、特にエネルギー補助金の削減には与党内の急進派が反対している。急進派のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル副大統領が合意内容を承知しているかとの質問にも、明確な回答を避けた。

1月28日は、IMFへの約7億ドルの元本返済日だった。年明け以降、IMFと合意することなくデフォルトになる可能性を指摘する声も聞かれていたが、野党連合「変革のためにともに」は、今回の発表を前向きに評価した。ただ、双方が理解に達した段階で、最終合意ではないため、国会に提出される合意文書の中身の確認や目標を実現するための具体的な取り組みについて、政府の説明を求めている。与党内、野党との合意形成にも困難が伴いそうだ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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