アーバン・エア・モビリティ分野の特許出願が急増
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年01月12日
ドイツ特許商標庁(DPMA)は12月29日、ドイツで権利行使できるアーバン・エア・モビリティ(UAM)分野の特許出願の件数が2016年~2020年に2.8倍に急増したと発表した(同庁プレスリリース)。
UAMとは、都市の交通問題の解決策の1つとして、電動化技術などを活用した空の移動手段を実現するもの。具体的には「空飛ぶクルマ」と呼ばれることもある、垂直離着陸機能を有し電動でロータを駆動させるeVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing)機を指すことが多い。
ドイツでのUAM分野の特許出願件数(2016~2020年)を出願人居住国別にみると、米国が819件で最大だった(添付資料表1参照)。ドイツは319件で第2位、日本は95件だった。2020年単年の出願件数では、米国が224件と最大だったが、ドイツが前年比2倍の121件と急増した(添付資料表2参照)。
DPMAによると、UAM分野に関連して出願された特許の多くは、エネルギー供給・貯蔵システムに関するものだという。eVOTL機は垂直離発着時に多くのエネルギーを必要とし、この解決が求められているためだ。それ以外には、水平飛行時の揚力を生み出す翼の空力設計、機体と着陸施設など地上設備との交信技術などが続いた。
本統計は、DPMAまたは欧州特許庁(EPO)で公開されたドイツで権利行使できる特許を対象とした。UAM分野に関連すると判断したものを国際特許分類(IPC)から計上しているため、DPMAは、UAM分野に直接関係しない特許が一部計上されている可能性があるとしている。
ドイツ南部には、有人eVTOL機を手掛ける有力企業が居を構えている。例えば、ミュンヘン工科大学卒業生が2015年に起業したリリウム(Lilium)は2022年冬に、初の7人乗りeVTOL機を製造するとしている(「ハンデルスブラット」紙2021年12月29日)。また、ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州にあるボロコプター(Volocopter)は2011年創業で、日本航空などと協力し日本でのビジネス展開も進めている。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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