米ニューヨーク州、暖房用灯油へのバイオ燃料混合を義務化へ、2022年7月から

(米国)

ニューヨーク発

2022年01月04日

米国ニューヨーク(NY)州のキャシー・ホークル知事は2021年12月23日、州内の建物で使用される灯油にバイオディーゼル燃料の混合を義務付けなど、環境保護を目的とする一連の法案に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NY州では、2019年の気候リーダーシップ・地域保護法において2050年までのカーボンニュートラル達成が掲げられており、先日もNY市で新築建物での天然ガス使用を禁じる法案が成立している(2021年12月22日記事参照)。今回の一連の法案も、この目標に連携するものとされている。

バイオディーゼル燃料は、植物油や使用済み食用油などから生成される国産燃料とされ、石油系ディーゼル燃料と比べて二酸化炭素(CO2)を74%削減する効果があるとされる。今回の法案成立により、2022年7月以降に州内の建物で使用するために販売される暖房用灯油について、バイオディーゼル燃料を5%以上混合することを義務付け、さらに2025年7月以降は10%以上、2030年7月以降は20%以上へと、混合の割合を段階的に引き上げる。業界団体によれば、これらの措置によりNY州の軽油の年間消費量は約2億ガロン(約7億5,700万リットル)減少し、年間のCO2排出量を約100万トン削減する効果があると推計している(ロイター2021年12月23日)。

一方で、今後のコスト上昇が懸念されるところだが、バイオディーゼル燃料価格は通常のディーゼル燃料と同水準になってきていることに加え、ニューヨーク市およびロングアイランドでは同様の義務付けが2017年から始まっており、これらの地域では影響は小さいとみられる。また、NY州に隣接するコネチカット州とロードアイランド州でも、2021年夏に同様の法案が成立している(ロイター2021年12月23日)。連邦レベルでも環境保護庁は12月7日、輸送用のガソリンまたはディーゼル燃料への一定量のバイオディーゼル燃料の混合または再生可能識別番号(RIN)と呼ばれる取引可能なクレジットの購入を製油業者に義務付ける、再生可能燃料基準制度(RFS)について、2022年はこれまでで最大となるバイオディーゼル燃料の混合総量が提案されており、足元でバイオディーゼル燃料混合の動きが拡大している。

なお、NY州で今回成立した法案の中には、ホテルに備え付けられているシャンプーなどを入れる小型プラスチック容器の使用の制限や、人口9万人以上の都市でのぜんそくの発生率に関する調査の実施、学校の飲料水において鉛の濃度が安全な水準にあるかどうかに関する調査の頻度拡大、などの措置が盛り込まれている。

(宮野慶太)

(米国)

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